IoT住宅で賃貸入居者は増えるのか?不動産テック市場成長の背景

賃貸IoTで入居者を効率よく増やす GUIDE

不動産運用では”入居者が途切れないこと”が重要なのは、言わずもがなの事実です。昨今では不動産テック市場が成長していることも背景に、入居者に選ばれる物件の特徴も変わっています。継続した利益を出すためには、ニーズに合わせて物件をアップデートしていかなければいけません。

そこで企業が取り組んでいる「不動産DX」。今回はその中でも「IoT住宅」に注目しました。果たしてIoT住宅に進化させることで、賃貸入居者は増えるのでしょうか?

ランニングコストと導入企業の声も合わせて紹介します。

なぜ今、不動産DXが注目・加速するのか

出向いてきた顧客に対し、実際にペーパーで間取り図を見せ、担当者と顧客が一緒に物件を回る。これが従来の物件探しでした。しかし昨今ではインターネットをはじめとした情報網の拡大で、顧客の獲得競争が激化しています。

また、顧客管理やデータの分析にAIの力を使ったり、人員不足を解消できたりする可能性もあるため、不動産業界も徐々にDX化のスピードをあげています。

今後はさらにDX化が加速する見通しで、顧客もオンラインで完結する物件や不動産会社を選ぶようになるでしょう。つまり、オフラインのみに対応している物件や不動産会社は、顧客獲得機会を逃す可能性があるのです。

顧客のニーズがオンラインにある以上、不動産DXは生き残るうえで必要不可欠といえるでしょう。

賃貸物件のIoT化で取引フローが簡素化される

IOT

IoT賃貸住宅とは、スマホやタブレット端末などから住宅設備を操作できるようにした物件を指します。インターネットの回線と住宅を連携させることで、物件自体の利便性、快適性が向上されるのが特徴です。このような住まいは「スマートホーム」とも呼ばれます

マンションを一棟丸ごとIoT化させることで、取引フローの簡素化が叶います。そもそも、不動産契約の締結までには、5つのフローがあります。

顧客獲得→査定→売出・内覧→契約→取引決済

顧客獲得」は、物件を獲得することです。まずは物件が手に入らないと人に貸し出せません。顧客を獲得したら「査定」に入ります。これまでは不動産取引情報提供サイト等の履歴情報などから情報を集め、査定しなければいけませんでした。DXサービスで自動査定が可能になり、ここのフローに手間がかからなくなります。

その後、売出しを行い、内覧を経て契約に移ります。その内「内覧」の部分を簡素化できるのがIoT住宅です。また、データの収集、分析にも役立つため、査定や顧客獲得の部分にも貢献できる可能性もあります。

また、「契約」では、オンライン契約が可能になりました。重要事項説明書等の説明もオンラインで行えるほか、電子契約書が有効になり、不動産会社に借り手が来れなくても契約できるようになりました。すでに多くの不動産会社がこのオンラインの取引を開始しています。

その後、「取引決済」が完了すると不動産契約の成立です。

IoT賃貸住宅を導入後のメンテナンスの手間

IoT賃貸住宅はスマートキーなどスマートホームを採用することになるため、導入にかかる費用だけでなく、導入後もメンテナンスが発生します。また、入退去の際や内覧時に手間も考慮しておく必要があります。これらは、どれほどの懸念になるのでしょうか。

主な手間は以下の通りです。

・退去後のスマートキーリセット
・内覧時に一時パスを発行
・機器のメンテナンス

退去後のスマートキーリセットは、必要に応じて大家や管理会社で行います。入退去が激しい物件では手間がかかるかもしれませんが、鍵の交換に比べると早く終わります。設定はオンラインで完了するため、懸念点にはなり得ないでしょう。

また、セルフ内覧のときに一時パスを発行しなければいけませんが、同行する手間を考えると、むしろ簡素化されたと考えられます。よって、日常業務で発生する手間は少ないどころか、省けるといえるでしょう。

また、機器のメンテナンスは定期的に必要になります。一般的にはマンションのインターホンは耐用年数が15年で、それ以降は部品が入りにくくなります。全住戸の計画的リニューアルをしていかなければいけません。これらのメンテナンスはIoT賃貸住宅に関わらず、必要になってきます。

IoT賃貸住宅のメリット・デメリット

IOT賃貸

賃貸のIoT化を検討するにあたって、メリットとデメリットどちらも理解しておかなければいけません。

IoT賃貸住宅のメリット

IoT賃貸住宅のメリットには、以下のような点が挙げられます。

IoT賃貸住宅のメリット
・顧客管理が楽になる
・無人内覧など人員削減が叶う
・担当できる物件数が増える
・データの収集、最適化が簡単になる
・カメラを使った防犯、ヘルスケアができる
・入居者の利便性が高まる

IoT賃貸住宅のメリットは、カメラやインターネットなどの力を利用して、さまざまなサービスを受けられる点にあります。物件丸ごとIoT化させることで、住んでいる顧客管理、データの収集から最適なサービスの提供までが叶うようになるのです。

また、無人内覧ができるようになると、物件案内に関わる人員を削減でき、その分ほかの業務に携わることができます。よって、ひとつの企業で担当できる物件数の拡大に貢献し、利益拡大に繋がるでしょう。

そのほかにも、介護サービス付き住宅にも応用可能。カメラを利用して見守りや遠隔制御ができるほか、バイタルサインと連携したヘルスケアも行えるようになるのです。少子高齢化が進む日本では、IoT賃貸住宅を介護シーンに利用することで、ビジネスチャンスにもなるでしょう。

IoTによるスマートホーム化で入居者の利便性が高まる

スマホを触る女性

IoTによるスマートホーム化は、貸し手だけでなく借り手にもメリットがあります。

入居者のメリット例
・スマートキーでエントランス、玄関ともにキーレスが叶う
・遠隔で家電の操作が可能になる
・防犯面で安心できる
・離れた両親やペット、子どもの見守りができる

留守中にカメラで家の中を確認できたり、スマートロックで鍵の複製を困難にしたり、防犯に強いのがスマートホームです。来客の際は一時パスを発行できるため、身内が遊びに来るときなど、一時的に鍵が欲しい場合にもスムーズに対応できます。カメラは防犯面だけでなく、ペットや子どもの見守りにも役立ちます。離れた両親の見守りが叶うのも、スマートホームのメリットといえるでしょう。

また、エントランスや玄関でのキーレスも叶います。買い物帰りで両手がふさがっているときや、子どもを連れての外出の際に便利です。ファミリータイプの新築物件では、スマートキーの設置が当たり前になってきていますが、単身用物件でも増加傾向にあります。

そのほかにも、家電と連動させることで遠隔操作ができるようになり、外出先からエアコンや照明などの機器のオンオフが可能になるのです。消し忘れの確認や、帰宅前に空調を整えておくなど、入居者のライフスタイルに合わせた使い方ができます

GPSと連動させることで、最寄り駅に着いたら自動でオン、最寄り駅から離れたら自動でオフなど、オート設定も可能。入居者にとって魅力的なスマートホームは、物件価値を高める要因になります

IoT賃貸住宅のデメリット

スマートホーム

IoT賃貸住宅のデメリットは、以下の点が挙げられます。

IoT賃貸住宅のデメリット
・初期費用、維持費用がかかる
・IoTに対応できる人材確保が必要
・サイバー攻撃にあう可能性がある

そもそも、賃貸物件にIoT機器を設置する初期費用が発生します。初期費用はどこまでIoT化させるか、マンションの規模などで変わってくるため、費用対効果を考えましょう。IoT化させるにあたって、対応できる人材育成が必要です。長年不動産業界にいる人が移行しやすい仕組み作りのほか、ネットに明るい世代に負担が偏らない工夫をしなければいけません。育成にあたり、教育費用がかかる可能性もあります

また、IoT賃貸住宅はインターネットが欠かせません。セキュリティ対策をしていてもサイバー攻撃にあう可能性があります。IoT対応機器の増加によりサイバー攻撃対象が増え、セキュリティレベルの強化が課題です。大規模なサイバー攻撃の踏み台としてスマートホームが利用される可能性もあります。

サイバー攻撃にあった場合、サービスが停止してしまうほか、住宅から収集したデータの漏洩、改ざんなどの影響が懸念されます。

経済産業省が発表している「スマートホームの安心・安全に向けたサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」によると、スマートホームを提供する事業者は以下の対策を行うことが望ましいとされています。

・IoT機器を正しく選定する
・IoT機器やサービスを正しく設置、設定する

セキュリティやセーフティに対する機能が有効である機器を選定することが最も重要です。

また、スマートホーム化された分譲共同住宅・団地の管理組合や管理受託会社及び、スマートホーム化された賃貸住宅の所有者や管理受託会社は、以下の対策を行うことが望ましいとされています。

・共有スペースや賃貸している住戸に設置する機器の選定と、機器やネットワークの管理・運用を適切に行う
・機器やサービスの用途・用法を守る

と、記載されています。最新のセキュリティに随時アップデートされるもの、メンテナンスやサポートが受けられる機器や事業者を選ぶことで、上記の課題はクリアされるでしょう。

当社リンクジャパンでは、機器及びクラウドまでの通信をすべて特殊通信で暗号化しセキュリティ対策を実施。製品の出荷台数は45万台を超えた今でも、安定したサービス提供を実現できています。

賃貸物件をIoT化すべき管理会社の特徴

不動産会社

現状の運用方法に満足している場合でも、賃貸物件をIoT化した方が良いことがあります。賃貸物件をIoT化した方が良い管理会社の特徴は以下の通りです。

・人手不足が懸念される
・データの管理や運用に不安がある
・現時点で不動産DXに取り組んでいる・乗り出している

現時点で人手不足で悩んでいる管理会社のほかに、従業員の高齢化などに伴った今後の人員不足が懸念される管理会社は、物件のIoT化で業務負担を軽減するのが良いでしょう。若い人材の確保にも繋がります。

また、データを一括化して管理した管理会社も物件のIoT化が有効です。ペーパーレスで欲しい情報を瞬時に引き出せるだけでなく、自動でデータ収集が行えます。すでにオンライン重説やオンラインで物件管理業務などの不動産DXに取り組んでいる企業も、物件をIoT化することでフロー間をスムーズに引き継ぐことができるでしょう。

IoT賃貸住宅にはリンクジャパンのeLife

eLife

リンクジャパンが提供している「eLife」は、スマートホームに必要なサービスをフルセットで提供しています。自社アプリ「HomeLink」ひとつで、鍵やインターホンの管理、操作が叶うほか、オンライン診療や家事代行など、他社のサービスと連携可能。また、電力管理やホームセキュリティなどの付加価値を追加することで、物件の差別化も叶います。

eLife」導入前の企画立案のほか、PR活動、IoT勉強会など、導入に向けたフォローアップ体制も充実。導入後も電話やメール、チャットでサポートをしており、拡張性にも優れているのが特徴です。

eLife」が提供できる住宅領域は、分譲、賃貸、戸建、シニアと多岐にわたり、住宅をライフスタイルに合わせてアップデートできるため、数十年先もニーズに伴った賃貸住宅の提供が実現します。

また、設定してから引き渡すため、IoT機器の難しい操作が不要です。QRコードを読み込むだけですぐに利用開始されるため、管理者と入居者の双方の手間を取らせません
また、入退去の際は、次の利用者がQRコードをスキャンすれば前の利用情報はすべて消去される仕組みになっており、セキュリティ面でも安心です(特許取得済み)。もちろん、管理者からの手動削除にも対応しています。

初期費用は「eLifeフルセットでつけても1部屋10万円程度(参考価格)。セット内容は物件やニーズによって異なるため、ぜひ一度ご相談ください。

また、共有スペースの電気代やメンテナンス費用などの維持費用もかかりますが、物件価値を高めて家賃の値上げ等を行えば、十分に投資回収できる金額です。

「どこまで導入すれば良いのかわからない」「販売員のスキルが追いつかない」「不動産管理を効率化したい」など、導入にあたっての悩みは企業によってさまざま。導入実績一位の当社では、過去の事例を元に、お客様の悩みに合った方法をご提案します。

ぜひ一度、無料相談までお問い合わせください。

法人向けのお問合せ・取材のご依頼はこちらから

IoT機器の導入にあたっての注意点と実際の声

チェックポイント

賃貸住宅のIoT化によってスマート内覧が可能になります。これまで45万台出荷してきた導入実績からよくある導入の注意点と導入企業の実際の声をまとめました。特に多く質問をいただくのが、Wi-Fi接続に必要な電気代の扱いです。

ーーーQ.未入居時の電気代の負担は誰になるのか
A.入居者がいない間の電気代は管理会社が負担します。入居開始後は入居者が電力会社と再契約し、入居者が支払うようになります。
スマート内覧を行うため、未入居時も電気代は発生するので注意してください。

ーーーQ.電気代を支払ってでもスマート内覧を行うメリットはあるのか
A.入居がつかない間の気代を負担してもメリットがあると答えた導入企業がほとんどです。賃貸仲介業務の効率化が叶うほか、物件のブランディングができていることから、客付けをしやすい特徴があります。

リンクジャパン|スマートホームeLifeの詳細はこちら

賃貸物件のIoT化で利益率を上げる

昨今の住まい探しは、アナログからデジタルに急速に移行しており、今後は物件探しから契約締結まですべてオンラインで完結するようになる時代です。賃貸住宅のIoT化は、顧客確保の観点からも取り組むべき課題と言えるでしょう。

また、IoT機器を導入したからといって、顧客が自身で購入し設置できるような設備では物件の差別化は叶いません。リンクジャパンは、物件のブランディングから導入機器の提案、導入後のサポートまで一貫して併走します。「eLife」で、賃貸物件のアップデートを検討してみてはいかがでしょうか?

お問い合わせはこちら