住宅に最適なIoT製品を導入すれば、便利で快適なスマートホームを提供できます。
しかし、導入製品やサービスの選び方を間違えると、居住者に使ってもらえないうえ、ホームIoTへの心象まで悪くなるケースがあります。
正しく導入すれば新しい生活スタイルを享受できるスマートホームが、間違った導入方法によって「効果がない」「想像していたのと違う」などの印象を持たれてしまうのは、とても残念なことです。
そこで本記事では、失敗しないホームIoTを選ぶために押さえておきたい7つの注意点をくわしく解説します。
スマートホームの導入に疑心暗鬼になっていたり、ホームIoTの選び方で迷っていたりする方々の参考になれば幸いです。
前提:スマートホームとIoT設備導入住宅は異なる
前提として押さえておきたい事実があります。
それは、スマートホームとIoT設備導入住宅は異なることです。
IoT機能を備えた機器や、ECで販売されているようなスマートリモコンを置いた住宅を「スマートホーム」と謳うケースが時折あります。
しかしこのケースでは、機能やメリットにくわえ使い方がよくわからないため、顧客満足度はほとんど上がりません。
ITリテラシーの高いお客様(利用者)からすれば「ネットで安く購入したものと同じ」なので、むしろクレームが発生する可能性が高いです。
住宅提供者にしか提供できない本当のスマートホームとは、統合アプリやインターフェースがあり、宅内全ての機器やサービスがそれらに統合された家であるべきです。
これこそ住宅提供者にしかできないことで、これによって初めて住宅の価値が向上します。
ホームIoT導入時に押さえておきたい7つの注意点
ホームIoT導入時に、押さえておきたい7つの注意点があります。
それぞれ具体的に見ていきましょう。
製品の安定性を確認する
まずは導入製品の安定性の確認が重要です。
ホームIoTの導入初期コストが安くても、動作が不安定だったり不具合が多かったりすれば、サポートコストが膨らむ可能性があるからです。
安定性を確認するには、出荷実績と大量利用の実績があるサービスまたはメーカーかどうかを見極めることが必要です。
これらの実績がない場合、不具合や問題点に気づかないまま提供されている可能性があるので、問題になるリスクが潜んでいる可能性は高いでしょう。
使いやすいUI・UXを備えた製品を選ぶ
使いやすいUI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザー体験)を備えているかどうかは、利用者の利便性の良さにつながります。
IoT製品の顧客満足度の決め手は、製品本体ではありません。
利用者との接点であるアプリやWEBなどのUIやUX設計のほうが、決め手になります。
製品によっては普段ほとんど触れないケースもあるので、選定する際に本体のスペックよりも、アプリを使ってテスト利用することが重要です。
同時にアプリレビューを参考にし、実際の利用者の声も拾いましょう。
信頼できるメーカーの技術力と経験を重視する
これは、IoT製品やサービスを安定提供していくうえでの生命線ともいえます。
経験も大事な理由は、製品は当初の設計通りに動かなかったり、テストサンプルはOKでも実運用はうまくいかなかったりするケースがほとんどだからです。
たとえばニュースで「革命的な技術が発明された」「POC(概念実証)が無事に完了した」などよく見かけても、普及しないのはこのためです。
また、Apple社やGoogle社のOSアップデートにより、今まで使えていた機能が急に使えなくなるリスクもあります。
そのため、自社でスピーディにソフトを開発してアップデートする能力を持っているかが重要です。
委託開発では、その都度開発費が発生するため、社内承認などで時間を要する可能性があります。
これを見極める方法のひとつが、アプリストアの更新履歴です。
IT業界的な見方になりますが、短期間かつ高頻度にアプリを更新できる会社ほど、開発力が高い傾向にあります。
そのため、更新履歴の頻度は必ずチェックしておきましょう。
拡張性の高いサービスと連携可能なIoT製品を選ぶ
「一つのアプリやプラットフォームで、どれだけ多くの機器とサービスを利用できるか」
これに尽きます。
さまざまなアプリがなければサービスを使えないなら、利用者はストレスを感じて使わなくなります。
それなら初めから導入しないほうがいいでしょう。
また、APIによる連携機器が多くなると、それだけ管理するアプリの数も増える可能性があるため要注意です。
実際の使用感が目的とマッチするかどうかを確認する
ホームIoTサービスの選定で失敗しやすいのが、資料を集め、ペーパー比較表で判断する方法です。
なぜなら「機能が多いこと」と「利用者が感じる利便性」は別物だからです。
以下に具体例をふたつ挙げます。
- カタログ上の機能は多いが、利用者が不便に感じるケース
「実際使ってみるとペアリングしにくい」
「ペアリングできてもレスポンスが遅い」
「たまに実行できないことがある」
などの理由で利用者は使わなくなります。 - 調達とコストの兼ね合いで、多くの機能が一体化した機器を選ぶケース
たとえば、製品をルーターの近くに置くと、その周辺の温湿度情報をとってしまい温度が高めになります。
かといって、おもてに置くとケーブル類が邪魔になったりします。
また多機能が一体化したIoT製品の宿命ですが、1機能でも不具合になると全機能が使えなくなることもあり、不具合の発生率が高まります。
したがって、自社の企画にあわせて実際に製品を利用し、以下の観点で見極めるのが重要です。
- 利用者が日常的に利用しやすいと感じられるか
- 動作レスポンスが速いかどうか
- 生活動線に沿った製品設計になっているかどうか
充実したサポート体制を備えたメーカーを選ぶ
充実したサポート体制のチェックポイントは、対応人数や手段ではなく、対応スタッフのスキルとレスポンスです。
IoT製品のサポートは、製品以外(通信環境、他社製品との相性など)に由来するケースも多いため、単純にマニュアル化しにくい部分があります。
したがって、対応する側の経験とスキル次第で結果は大きく変わります。
対応側が自社製品に愛情を持っているかどうかは、ひとつの目安になるでしょう。
そして、もっとも重要なことは「最高のサポートはサポートを必要としない」ことです。
つまり、UIとUX設計にこだわり抜き、ハードと通信のあらゆる障害ポイントを排除したサービス設計になっているかどうかが重要です。
メーカーの生産管理力に注目する
IoT製品はハード・ソフト・クラウド・通信など複数の要素が絡むため、開発・製造は一般製品よりは数倍ハードルが上がります。
それゆえに、1社ですべてを提供することはほとんどありません。
機器メーカーがソフト開発を外注したり、ソフトウェア会社が機器を外注したり、Apple社ですら製造を外注せざるを得ません。
そのため、自社でソフトウェア(アプリ、クラウドなど)を開発でき、ハードウェア生産は外注だとしても生産管理をしっかりできるメーカーを選びましょう。
また製品設計は、一般向けか法人向けかで寿命と耐久性が変わります。
なぜなら、品質基準や採用部品の種類が変わるからです。
ちなみに製品を外注生産するメーカーの場合、販売量が多いメーカーを選んだほうが安心です(理由は、あとで解説する豆知識を参考に)。
補足:知っておくと得するIoT業界のパターン別豆知識
ここでは、知っておくとためになるIoT業界の豆知識を、パターン別に見ていきましょう。
パターン1:ハードとソフトの両方をOEMで提供
ソフトを外部委託するケースは別ですが、完全に既存品を使う場合はカスタマイズが効きません。
ただし、少ない投資でサービスを提供できるメリットがあります。
パターン2:ソフトは自社開発、ハードはOEM提供
以下のような注意点があるため押さえておきましょう。
- 製品供給元の品質管理能力と体力に依存する傾向にある
- 海外直取引の場合、大量発注(万台単位)の実績がないと要望を聞いてもらえない
- 調達コストが上がる、または急に生産中止になるリスクがある
パターン3:ハードとソフトの両方を自社開発
IoT製品の開発と生産に従来より数倍の投資が必要なため、製品ラインナップが限られます。
また、製品の販売実績が少ないと部品調達のハードルが上がり、コストが上がる傾向にあります。
パターン4:ソフトは自社開発、ハードは自社とOEMのハイブリッド開発
供給元が生産をコントロールできるかどうかがポイントです。
それさえしっかりできれば一番効率的といえます。
また、自社でソフトもハードも設計・開発する能力を持ちながら生産と品質管理のノウハウも持っていれば、ローコストかつ高品質に製品を供給できるメリットがあります。
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本記事では、以下の観点でホームIoT導入時の注意点を解説しました。
これら7つの観点でホームIoTサービスを選定すれば、居住者の満足度が向上するスマートホームを提供できるでしょう。
ただし、これら観点を網羅して検討するのはなかなか大変な作業です。
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