スマートホーム家電・ウェアラブルデバイス・自動運転車など、IoTデバイスは今やなくてはならない存在になっていますよね。
家庭はもちろん、産業や農業などさまざまな分野でIoTデバイスは活用され、暮らしや働きかたに変化を与えています。
そこで本記事では、あらためてIoTデバイスの基本や役割をおさらいし、最新の活用事例を紹介します。
活用事例では、当社リンクジャパンが力を入れている分野を中心に解説するので、ぜひ最後まで目を通してみてくださいね。
IoTデバイスの定義と市場動向
まずはIoTデバイスの定義を確認し、IoTデバイスの現況と今後の成長予測を見ていきましょう。
IoTデバイスとは
「IoT」はInternet of Thingsの略、すなわち「モノのインターネット」のことです。
「デバイス」とは機器・装置・器具などの意味を持つ英語で、IT関連のお話の中で使う場合、コンピューターに接続する周辺機器やハードウェアのことを指しますよね。
つまりIoTデバイスとは、インターネットを利用できる機器や装置のこと。
「インターネットを利用できる」を言い換えるなら、固有のIPアドレスを持っている機器や装置、という説明になるでしょう。
IoTデバイスは、インターネット上の多種多様なIoTデバイスと連携できるので、リアルタイムなデータの収集・分析や、より最適な制御やサービスを私たちに提供してくれます。
IoTデバイスの市場規模と成長予測
日本でのスマートフォン保有率とインターネット普及率は、今や80%を超える状況です。
インターネットはもはや日常に浸透した当たり前な社会基盤であり、インターネット利用を前提とするIoTデバイスにも同様のことがいえるでしょう。
リアルな数字で確認してみると、世界のIoTデバイス数は毎年右肩上がりで増え続けており、2024年には398億台を超えそうです。
また分野別の成長率予測では、産業・医療・コンシューマー分野で毎年15%以上の成長率が予測されています。
※引用元:令和4年版の総務省「情報通信白書」
ChatGPTを代表するようなAI技術の発展が、この成長率をより加速する可能性は高く、IoTデバイスの存在感はますます大きくなることでしょう。
IoTデバイスの役割
普段よく利用しているIoTデバイスでも、「その役割は?」と聞かれると、意外に戸惑ってしまうものです。
ここではIoTデバイスの基本的な役割を解説するので、あらためてその本質を再確認しておきましょう。
モノや空間の状況を感知
最初の役割は、音・振動・温度・湿度・位置などの情報を収集できるセンサーやカメラを駆使し、モノや空間の状況をリアルタイムに感知すること。
状況を感知する機能は、スマートホームやスマートシティのような暮らしに密着した分野はもちろん、製造・農業・医療など幅広い分野で応用され、日々の生活やビジネスをより便利で効率的なものに変えています。
身近な例であれば、人間の音声で反応するスマートスピーカーは、わかりやすいその代表例でしょう。
GPSの位置情報を活用すれば、自宅に近づくと家の照明が自動で点灯したり、帰宅前に過ごしやすい室温になるようエアコンを制御できたりします。
また工場であれば、機械の温度などを収集すれば正常に稼働しているかどうかを監視可能なので、異常があっても素早く対処できるのです。
モノからモノへデータを送信
二つ目の役割は、インターネットを利用し、モノからモノへデータを送信すること。
データ送信機能は、リモート操作にくわえ、複数のデバイスからなる一連の作業を自動化したり効率化したりすることが可能です。
例えば、スマートホームであれば、センサーが照明や空調の状況を感知し、それらのデータを他のIoTデバイスやシステムに送信します。
受け取ったデータに基づき、照明の自動調整や適切な室温管理ができるので、快適な生活環境を自動的に整えられます。
工場や物流業であれば、IoTデバイスが機械や運搬車両の状態や位置情報を収集し、他のデバイスやシステムに送信することで、生産効率の向上やリアルタイムな在庫管理が可能です。
このようなIoTデバイス同士の通信は、インターネットの高速化や5Gのようなモバイルデータ通信技術の発展が支えていることも重要なポイントですね。
データを処理・分析・加工(エッジコンピューティング)
三つ目の役割は、収集したデータを処理・分析・加工する機能です。
IoTデバイスによって収集・生成されたデータを効率的に扱うため、近年はエッジコンピューティング技術が利用されるようになってきました。
エッジコンピューティングは、センサーなどのデータ発生源に近い位置(エッジデバイス)でデータを分析したり処理したりすることで、データ通信の遅延を減らし、リアルタイム性の高いレスポンスを実現します。
従来はクラウド上にデータを集中させ、クラウド上で処理する仕組みが一般的でした。
しかし、応答時間の速さやデータ処理の負荷分散が重視されるようになり、エッジコンピューティング技術が注目されるようになったのです。
例えば自動運転車であれば、センサーから収集したデータをIoTデバイス(エッジデバイス)上でリアルタイムに処理することで、状況に合わせた安全運転や緊急時の迅速なアクションを実現できます。
また、スマートファクトリーやスマートグリッドでは、エッジコンピューティングによって機器の故障検知や電力需要予測などの高度な分析ができるので、効率的な運用を実現します。
エッジコンピューティングによるデータの処理・分析・加工は、IoTシステム全体のパフォーマンスを向上させ、よりスマートで高度なサービスを提供するために不可欠な役割を果たします。
IoTデバイスの種類
ここでは、IoTデバイスの種類の一例をカテゴリごとに見ていきましょう。
モバイルデバイス
モバイルデバイスは、スマートフォンやタブレット、あるいはノートPCなどの持ち運びを前提として利用されているIoTデバイスです。
IoTデバイスとしては、もっとも身近な存在で代表的な部類に入るのではないでしょうか。
モバイルデバイスの役割は、IoTデバイスの設定、IoTデバイスのリモート操作、そしてIoTデバイスが収集・処理したデータへのアクセスや表示を可能にすることなど多岐にわたります。
モバイルデバイスは、人がIoTデバイスを操るうえで重要な役割を担うデバイスのひとつといえるでしょう。
モバイルデバイス
センサーデバイスは、状況を感知するための重要なデバイスで、さまざまなデバイスに組み込まれることが多いIoTデバイスです。
多種多様のセンサーが存在し、温度、湿度、光、音、振動、圧力、位置情報などのデータを取得できます。
種類 | 用途 |
---|---|
温度センサー | 温度変化を検出し、適切な環境制御に利用される。 |
湿度センサー | 空気中の湿度を測定し、空調や農業などの分野で活用される。 |
光センサー | 照明レベルを検出し、自動調光や省エネルギーに役立てられる。 |
音センサー | 音や振動を検出し、音響イベントや機器の故障検知に使用される。 |
GPSセンサー | 位置情報を取得し、ナビゲーションやトラッキングシステムに利用される。 |
圧力センサー | 空気や液体の圧力を測定し、工業用途や気象情報収集に活用される。 |
加速度センサー | 加速度や傾斜を検出し、スポーツ分析や車両制御システムに使用される。 |
表1 デバイスセンサーとその用途
スマートホームデバイス(IoT家電)
スマートホームデバイスは、インターネットを介したリモート操作や、状況に応じて自動操作が可能な家電や建具のことを指し、スマート家電と呼ばれるデバイスが該当します。
日常生活の利便性や快適性の向上を目的としたIoTデバイスです。
種類 | 用途 |
---|---|
スマートスピーカー | 音声アシスタントを介し、ニュースや天気などの情報提供や、他のIoT家電の遠隔操作ができる。 |
スマート照明 | 明るさや色温度を遠隔操作や自動化で調整できる。 |
スマートリモコン | 専用アプリで家電の遠隔操作が可能で、音声アシスタントを介してシーンに合わせた複数家電の一括操作もできる。 |
スマートサーモスタット | 室内温度を自動的に調整し、省エネルギーを実現できる。 |
スマート冷蔵庫 | 食材の管理や消費期限の通知、レシピ提案などが可能な冷蔵庫。 |
スマートエアコン | 遠隔操作や温度管理、消費電力の最適化が可能なエアコン。 |
表2 スマートホームデバイスとその用途
セキュリティデバイス
セキュリティデバイスは、個人や企業の安全を確保するために重要な役割を果たすデバイスです。
物理的なセキュリティからデータ保護まで、私たちをさまざまな方法で守ります。
たとえば、住宅やオフィスへの不法侵入者を検出し、オーナーや警備会社にリアルタイムで異常を通知できます。
種類 | 用途 |
---|---|
スマートロック | 遠隔操作や自動化で鍵の開錠・施錠が可能なドアロック。 |
スマートカメラ | リアルタイムで監視映像を提供し、セキュリティを強化する監視カメラ。 |
スマートインターホン | 顔認証、QRコード、ICカードにより、入場者の入退室を管理できる。 |
煙感知器・炭酸ガス検知器 | 煙や炭酸ガスの濃度を検出し、火災や一酸化炭素中毒を予防する。 |
セキュリティ機能付きルーター | ファイアウォールや暗号化技術を搭載し、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを低減するネットワークデバイス。 |
セキュリティアラームシステム | 侵入者や異常状況を検出し、アラームや通知を発するシステム。 |
表3 セキュリティデバイスとその用途
ウェアラブルデバイス
ウェアラブルデバイスは、身体に直接身に着け、健康管理や生活の利便性向上に役立つIoTデバイスです。
代表的なものはスマートウォッチで、リアルタイムに情報を収集・分析し、運動状況や生体データを見える化してくれます。
スマートフォンと連携し、通知やアプリ操作を手首や指先で簡単に行えるのも特徴のひとつでしょう。
種類 | 用途 |
---|---|
スマートウォッチ | 運動データや通知を表示し、アプリ操作も可能な腕時計型デバイス。 |
フィットネストラッカー | 歩数、消費カロリー、心拍数などの健康データを計測・追跡するデバイス。 |
睡眠トラッカー | 睡眠パターンや質を分析し、改善のためのアドバイスを提供するデバイス。 |
スマートグラス | ディスプレイ機能を備えた眼鏡型デバイスで、情報表示や操作が可能。 |
スマートリング | 指輪型のデバイスで、通知や簡単な操作が可能なウェアラブルデバイス。 |
表4 ウェラブルデバイスとその用途
VR/ARデバイス
VR(Virtual Reality:仮想現実)デバイスとAR(Augmented Reality:拡張現実)デバイスは、現実世界とデジタル世界を融合させることで、現実世界のみでは得られない多様な体験や機能を提供します。
VRデバイスはユーザーに没入感のある仮想環境を提供し、ゲームや映画鑑賞などのエンターテイメント分野で人気があり、遠隔教育や訓練シミュレーションなどでも効果的に活用できることが期待されています。
ARデバイスは、現実世界にデジタル情報やオブジェクトを重ね合わせることで、新たな体験や情報アクセスを可能にします。
例えば、スマートフォンやスマートグラスを使用して、現実空間にナビゲーション情報や商品情報を表示することが可能です。
VR/ARデバイスは、IoT技術と組み合わさることで、現実とデジタルが融合した新しい体験や価値創造を実現するため、より効率的で豊かな生活・働きかたを生み出す可能性があります。
ただし高価なうえ、デバイスの軽量化・コンパクト化が課題としてあることから、普及するにはまだ少し時間がかかりそうです。
IoTデバイスの活用事例
IoTデバイスの活用事例を業界ごとに確認すれば、IoTデバイスの重要性がより明確になるでしょう。
ここでは当社リンクジャパンが力を入れている分野に絞り、リンクジャパンのサービスに触れながら、IoTデバイスの活用事例を紹介していきます。
医療・介護分野
IoTデバイスの活用により、医療・介護分野では、より効率的でパーソナライズされたケアの提供や、患者や高齢者のQOL(生活の質)の向上を期待できます。
例えば、ウェアラブルデバイスを使用し、患者の生体データ(心拍数、血圧、血糖値など)をリアルタイムで収集・分析することで、適切な治療やケアの提供が可能になります。
また、これらのデータは医療従事者によって遠隔でモニタリングできるので、緊急時も迅速に対応できます。
介護分野では、IoTデバイスを活用した遠隔モニタリングや自動アラーム機能が、高齢者の安全確保を実現可能です。
また、スマートホームであれば、介護が必要な人々の自立を支援し、介護負担を軽減する効果もあります。
リンクジャパンでは、介護分野のプラットフォームサービスとして、eMamo(イーマモ)を提供しています。
eMamo(イーマモ)は、AIとIoT技術を駆使し、介護効率・見守り・自立支援をサポートするサービスです。
eMamoのくわしい情報は、リンクジャパン公式サイトをご確認いただくか、こちらよりお問い合わせください。
エネルギー分野
エネルギー分野では、エネルギー消費の最適化やリアルタイムの監視、維持管理の効率化などに活用されています。
たとえばスマートグリッドは、IoTデバイスを使用して電力網を監視し、電力供給と需要のバランスを最適化します。
また、スマートメーターは、消費者のエネルギー使用量をリアルタイムで計測し、データを分析することで、節電やコスト削減のための最適なエネルギー利用を提案します。
さらに、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーシステムにおいても、IoTデバイスはパフォーマンスのモニタリングや故障検知に役立っています。
リンクジャパンでは、AI×IoTで住宅エネルギーを最適制御するeNe(エネ)を提供中です。
IoT技術であらゆるエネルギー機器をつなぎ、AIによるホームエネルギー最適制御や一括制御を実現します。
eNeのくわしい情報は、リンクジャパン公式サイトをご確認いただくか、こちらよりお問い合わせください。
自動車分野
自動車分野では、運転の安全性向上、効率的な運行管理、環境への配慮などの目的で利用されています。
例えば、車両に搭載されたセンサーやカメラは、障害物検知・自動ブレーキ・車線逸脱警報などの安全機能を提供し、交通事故の減少や運転者の負担軽減が期待されています。
自動車のエンジンやバッテリーの状態をリアルタイムにモニタリングすれば、故障の予防・早期発見も可能です。
また、自動車の運行に関する事例ではありませんが、リンクジャパンでは車に搭載しているディスプレイオーディオから、家電の遠隔操作が可能かどうかを検証しました。
その結果、Web版のスマートホーム統合アプリHomeLinkで、車中からの家電操作に成功しています(IFTTTやアプリ連携等は一切不要)。
今後は、車の中からガレージを操作するのも当たり前な時代になりそうですね。
不動産分野
不動産分野では、建物の維持管理やエネルギー消費の最適化、安全性の向上などに活用されています。
たとえばビル管理システムでは、建物内の照明・空調・消防設備などをIoTデバイスでリアルタイムに監視・制御し、エネルギー消費の削減や運営コストの軽減を実現しています。
セキュリティデバイスの活用により、入退室管理や防犯カメラの遠隔監視を実現し、従来よりも強固なセキュリティを確保できるようにもなりました。
スマートホーム化による物件の付加価値向上や、内覧の無人化も実現できるようになるなど、IoTデバイスは不動産業界のDX推進にさまざまな形で貢献しています。
リンクジャパンでも、不動産の価値を高めるプラットフォームサービスeLife(イーライフ)を提供中です。
お客様のニーズに合わせて物件をカスタマイズし、従来よりも価値の向上した新しいスマートホームサービスを提供します。
eLifeのくわしい情報は、リンクジャパン公式サイトをご確認いただくか、こちらからお問い合わせください。
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本記事では、IoTデバイスの定義・役割にくわえ、さまざまな分野での活用事例を解説しました。
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