【最新図解】IoTの仕組みとは?IoT技術の動向をふまえわかりやすく説明

IoTの仕組みとは?IoT技術の最新動向を踏まえてわかりやすく図で解説 GUIDE

IoT」という言葉は、もはや当たり前に耳に入る時代になりました。

しかしその具体的な仕組みを正しく理解し、説明できる人は少ないのではないでしょうか。

IoTをうまく活用するには、IoTをよく知ることが重要です。

そこで本記事では、IoTの基本的な仕組みを最新の技術動向を交えて解説します。

IoTとは

IoTの仕組みに触れる前に、まずは「IoTとは何か」をおさらいしておきましょう。

IoTの読み方と正式名称

IoTの読み方は「アイオーティー」。

しかしこれは正式名称ではなく、「Internet of Things」の頭文字からとった略語で、意味は「モノのインターネット」。

IoTの「モノ」とは、たとえばエアコン・冷蔵庫・TVのような家電製品や自動車といった身近なモノから、工場や農業の機械に医療機器にいたるまで、物理的に存在するモノのすべてを指します。

IoTがもたらす効果と身近な例

インターネットに接続されたモノ「IoT」には4つの機能があります。

  • モノを遠隔操作
  • モノの状態を感知
  • モノの状況を把握
  • モノ同士の通信

IoTの機能
これら4つの機能をうまく活用することで、作業の効率化、安全性の向上、新たなサービスやビジネスの創出が可能です。

効果 説明
作業の効率化 モノの状態をリアルタイムで把握したり、モノを遠隔操作したりできるので、生産性の向上やコスト削減を実現。
安全性の向上 モノの異常を検知したり、予測したりできるため、防犯・事故の防止・故障の早期発見などに役立つ。
新たなサービスやビジネスの創出 さまざまなIoTが相互に連携できるので、住宅・工場・農業・医療など、多種多様な分野で新たなイノベーションを創出できる。

IoTが活用されているわかりやすい身近な例は、スマート家電スマートホームでしょう。

以下は、当社リンクジャパンが手掛けているIoTデバイスやIoTサービスの一例です。

IoTの仕組み

ここからは、IoTの仕組みを以下の観点で具体的に解説していきます。

IoTの仕組みを支えるさまざまな技術

IoTの仕組みを支える技術は6つ存在します。

それぞれの技術がどのようにIoTに貢献しているのか、くわしく見ていきましょう。

センシング技術

物理的な状況や環境をデジタルデータに変換する技術のことを指します。

デバイスにセンシング技術が組み込まれることで、温度・湿度・人の動きなど、さまざまな情報を収集できます

以下はセンシング技術を利用したセンサーの代表例です。

センサー 概要
温度センサー 室内の温度を測定。たとえばエアコンの制御に利用される。
湿度センサー 室内の湿度を測定。除湿器や加湿器の制御に利用される。
人感センサー 人の存在や動きを検知。照明の自動点灯や防犯システムに利用される。
煙感センサー 煙を検知。火災警報器の作動に利用される。
水漏れセンサー 水漏れを検知。水漏れ警報器の作動に利用される。

ネットワーク技術

IoTデバイス同士やIoTデバイスとクラウド間の通信を可能にする技術を指し、大まかにいえばインターネットや無線通信が該当します。

インターネットやスマホなどのモバイルデバイスの普及により、高速で大容量な通信から通信量は少なくても消費電力を抑えられるものまで、用途に応じたさまざまなネットワーク技術が現在進行形で発達中です。

通信規格 概要
Wi-Fi 無線LANの一種。同一敷地内や建物内のネットワークで利用される。家庭・オフィス・公共施設など、利用範囲は幅広い。
Bluetooth 近距離無線通信技術の一種。 IoTデバイスの中でも、IoTスピーカーやIoTセンサーなど、簡易的な通信が必要なものに適している。
Zigbee 近距離無線通信技術の一種。低速かつ低電力なので、ネットワーク内での小規模な通信が必要な環境に適している。 スマートホーム・ビルの自動化・産業用途などで利用されている。
Z-Wave 近距離無線通信技術の一種。ZigBeeと同じく低速かつ低電力。スマートホーム向けに開発された通信規格なので、IoTデバイス同士の相互運用性が高い。
LPWA IoTデバイスに適した、低速で低消費電力の広域通信規格。 その特性を活かし、センサーネットワークやスマートメータなどのIoTデバイスに広く利用されている。
NFC 近距離無線通信の技術でNear Field Communicationの略称。NFCを搭載した機器同士を近づけると通信できる。 もっとも身近な活用例は、交通系ICカードと改札。
Matter スマートホームの標準規格で、IoTデバイスの相互運用性を向上させる規格として注目を浴びている。

Matterについては、以下の記事でくわしく解説しているので、一度目をとおしてみてください。

ビッグデータ分析技術

IoTデバイスから収集された大量のデータを分析する技術で、ライフスタイルやビジネスに効果的な情報の抽出・予測を可能にします。

インターネットとコンピューター技術の発達により、ビジネスやマーケティングに関わるデジタルデータを膨大に収集可能となり、それらを有効活用するための技術として発展しました。

以下は代表的なビッグデータ分析手法です。

分析手法 概要
データマイニング 大量のデータからパターンや規則性を見つけ出す手法。
機械学習 データから自動的に学習し、予測や分類を行う手法。
ディープラーニング 人間の脳の神経回路網を模したニューラルネットワークを用い、複雑な問題を解決する手法。
プレディクティブアナリティクス 顧客の購買履歴・サイトへのアクセス・行動データなど、過去データから未来の予測を行う手法。
リアルタイムアナリティクス リアルタイムにデータを分析し、スピーディーな意思決定を支援する手法。

クラウド技術

インターネットを通じてデータの保存や処理を行う技術のことです。

高速なインターネット網と高性能かつデータ量の豊富なコンピューターの普及により、インターネット上に配置したコンピューター資源を「クラウド」として提供するサービスが一般的になりました。

IoTを活用したサービスやシステムでは、センサーが収集したデータやデバイスの活動記録をクラウド上のコンピューターに蓄積し、前述のビッグデータ分析技術を用いて多種多様なシステムの効率化・最適化に役立てています

以下は代表的なクラウドサービスです。

クラウドサービス 概要
Amazon Web Services(AWS) Amazonが提供する世界最大のクラウドサービスで、多種多様なサービスを提供。
Microsoft Azure Microsoftが提供するクラウドサービスで、企業向けのソリューションが充実している。
Google Cloud Platform(GCP) Googleが提供するクラウドサービスで、AIや機械学習の機能に重点を置いている。

エッジコンピューティング

クラウドと対照的なアプローチで、データ処理と分析をエッジデバイス(端末)で行う技術です。

クラウドベースのシステムでは、データはインターネット上のサーバーに送信され、さまざまな処理されたあとに結果が返されます。

しかし、IoTの急速な普及により膨大なデータがクラウドに蓄積され、通信量や処理速度の遅延が懸念されるようになりました

その解決手段として注目されたのがエッジコンピューティングです。

エッジコンピューティングでは、データの処理や分析をデータ発生源に近いエッジデバイスで行うため、リアルタイム性とレスポンス性を向上させます。

以下に代表的なエッジコンピューティングの活用例を挙げます。

活用例 概要
自動運転車 センサーからのデータをリアルタイムに処理し、即時の運転判断を行う。
スマートファクトリー 工場内の機械の稼働状況をリアルタイムに監視し、異常を早期に検知する。
ドローン 空撮画像をリアルタイムに解析し、地形や物体の認識を行う。
ヘルスケア ウェアラブルデバイスからの生体データをリアルタイムに分析し、健康管理を行う。
スマートシティ 都市のインフラ状況をリアルタイムに監視し、最適な運用を行う。

AI(人工知能)技術

機械学習や深層学習を用いて人間の知的活動を模倣し、さまざまな自動化・最適化を実現する技術です。

IoTデバイスが収集したデータの分析や予測の精度を向上させるうえで、必要不可欠な技術ともいえます。

昨今では大規模言語モデル(LLM)をベースとするChatGPTなどの普及によって、AIベースのツールが加速度的に増加中です。

そのため、IoTにAIが組み込まれるのも、もはや当たり前の時代になりつつあります。

AI技術の活用分野 概要
自然言語処理 人間の言語を理解し、対話や文章生成を行う。たとえば、ChatGPTは大規模言語モデルをベースにしたAIで、自然な対話を実現する。
画像認識 画像から特定の物体や人物を認識する。たとえば顔認証システムは、人の顔を認識して本人確認を行う。
音声認識 音声から言葉を認識する。たとえばスマートスピーカーは、ユーザーの音声指示を認識して操作を行う。
予測分析 過去のデータから未来の予測を行う。たとえば株価予測システムは、過去の株価データから未来の株価を予測する。
ロボット技術 物理的な自動動作を行う。たとえば自動運転車は、AIの判断に基づいて運転操作を行う。

IoTの仕組みを図で解説

IoTの構成要素と連携の仕組み

IoTのシステムやサービスは、モノ・センサー・クラウド・アプリケーションが相互に連携することで機能します。

その相互連携を可能にするのがネットワークであり、ゲートウェイはインターネットの出入口の役割を果たします。

また、AIがモノやアプリケーションに組み込まれることで、状況に応じた最適な自動制御を実現可能です。

たとえばスマートホームでエアコンを操作する場合、スマホのアプリから指示が出され、Wi-Fiを通じてエアコンに伝わり、エアコンはその指示にしたがって動作します。

また、エアコンの設定温度や時間をクラウドに記録すれば、家庭や作業環境ごとに最適な温度設定や稼働時間をユーザーからの指示なしに自動制御可能です。

この一連のプロセスの基になっているのが、IoT World Forumで採用されている7層モデルのアーキテクチャです。

IoT World Forum Reference ModelIot Reference Model, IoT World Forum, Sep 2014

IoT World Forumの7層モデルは、IoTシステムの構造を理解するためのフレームワークです。

各層は特定の役割を持ち、それぞれが適切に役割を果たすことで、一つのIoTシステムを形成します。

各層の名称 役割
物理デバイスとコントローラ
(Physical Devices and Controllers)
物理的なデバイスやセンサーが環境からデータを収集し、特定のアクションを制御する。
接続性
(Connectivity)
デバイスとネットワーク間の通信を実現する。無線や有線の接続技術が使用される。
エッジコンピューティング
(Edge Computing)
デバイス側で、データ前処理・応答性の向上・通信量の節約を実現する。
データの蓄積
(Data Accumulation)
収集されたデータが保存され、後続処理で利用可能になる。
データ抽象化
(Data Abstraction)
データを一般化または簡略化し、上層のアプリケーションでより簡単に利用できるようにする。
アプリケーション
(Application)
特定のビジネスニーズに対応する機能を提供する。たとえばエネルギー管理やセキュリティなど。
コラボレーションとプロセス
(Collaboration and Processes)
アプリケーションやデバイス間の連携を実現し、情報共有やプロセス自動化を可能にする。

IoTの構成要素とその役割

IoTデバイスはインターネットを利用できる機器や装置の総称

IoTのシステムは、前述の仕組みにも登場したさまざまな構成要素が連携して機能します。

それぞれの構成要素がどのような役割を果たすのか、具体的に見ていきましょう。

モノ(IoT家電をふくむ各種IoTデバイス)

モノには、スマートTV・スマートエアコン・スマート照明など、インターネットに接続可能なあらゆるデバイスが含まれます。

これらのデバイスは、ユーザーの操作や自動制御により、さまざまな機能を実行します。

スマートホームではデバイスの遠隔操作や自動制御により、生活の快適性・利便性・安全性を向上可能です。

センサー(データの収集)

センサーは環境やデバイスの状態を測定し、そのデータを収集します。

たとえば、温度センサーは部屋の温度を測定し、そのデータをエアコンに送信します。

人感センサーであれば人の存在を検知できるので、照明の自動ON・OFFや不審者の侵入を検知などが可能です。

ゲートウェイ/ルーター(通信経路の確保)

ゲートウェイやルーターは、デバイス間の通信経路を確保し、デバイスやクラウドサービスとのデータのやり取りを可能にします。

スマートホームの場合、ゲートウェイやルーターは家庭内のデバイスとインターネット間の通信を管理し、デバイス間の連携を可能にする役割を果たします。

ネットワーク(通信方法)

IoTはネットワークを介して連携する.jpg

ネットワークは、デバイス間やデバイスとクラウドサービス間の通信を実現します。

通信する際には、Wi-FiやBluetoothなどの通信規格が利用されます。

たとえばスマホからの操作指示をWi-Fi経由でエアコンに伝えれば、エアコンのリモート運転が可能です。

クラウド/サーバー(収集データの記録・保管)

クラウドやサーバーは、収集したデータの記録や保管を行い、データをいつどこからでもアクセス可能にします。

スマートホームでは、クラウドやサーバーはデバイスの運転状況・エネルギー消費量などのデータを記録・保管し、アプリケーションがいつでもデータを利用できる役割を果たします

アプリケーション(データの可視化・分析・予測・制御)

アプリケーションは、収集したデータの可視化や分析・予測・制御を行います。

これにより、ユーザーはデバイスの状態をリアルタイムに把握したり、利用シーンに応じた適切な操作が可能です。

スマートホームの場合、住宅に設定されたあらゆるデバイスの状態・制御を可能にするホームアプリケーションが用意されています。

たとえば当社リンクジャパンでは、住宅のすべてをコントロール可能なHomeLinkを提供しています。

AI(高度な推論・機械学習)

AIは自動処理最適化を可能にする

AIは、IoTデバイスが収集したデータを基に、高度な推論・機械学習を行います

これにより、IoTシステムは自動で最適な操作を行うことが可能です。

たとえばスマートホームでは、AIが居住者の生活パターンを学習し、場面に応じた照明効果や温度の調節などを自動で行います

また異常検知機能を持つAIは、デバイスの故障や異常なエネルギー消費を検知し、早期に問題に対処する役割も果たします

まとめ:さまざまな技術の進展でIoTは進化し続ける

本記事では、以下の観点でIoTの役割を解説しました。

IoTはAIなどの多様な技術の進展により、日々進化し続けています。

IoTと多種多様な技術が組み合わさることで、私たちの生活はより便利で快適になります

また、ビジネスの効率化や新たなビジネスチャンスの創出も可能です。

IoTを活用したスマートホームの発展はとくに目覚ましく、家庭内のさまざまなデバイスの連携によって作業の自動化や遠隔操作が可能となり、便利で快適な新しいライフスタイルを実現しています。

当社リンクジャパンは、AI×IoTをベースとした最先端のスマートホームサービスを提供しています。

スマートホームの導入でお悩みの場合、ぜひ一度ご相談ください。