不動産投資の利回り最低ラインは?高い利益を生む物件にする方法

不動産投資の利回り最低ラインは?高い利益を生む物件にする方法 GUIDE

新NISAの開始など、世の中の投資ブームが加熱している今、不動産投資を検討している人も多いのではないでしょうか?まとまった資金が必要な不動産投資ですが、安定して長期間利益が得られる投資として注目を集めています。そこで気になるのが「利回り」。投資をするうえで、リターン(利回り)の計算は必須です。

本記事では、不動産投資の利回り最低ラインと計算方法を紹介します。また、高い利回りを期待できる物件の特徴も合わせて確認しておきましょう。

不動産投資の利回りとは?

不動産投資

投資における利回りとは、「投資した元本からどれくらいの利益を得られたか」を表すものです。株式や投資信託の場合は、売買による利益のほか、分配金・配当金による利益も利回りで重視されます。

不動産投資は頻繁に売買を行う機会が少ないことから、家賃収入に対する利回りを計算することが一般的です。不動産投資の利回りには、主に以下の3種類が用いられます。

不動産投資の利回り
・表面利回り
・実質利回り
・自己資本手取額利回り

それぞれ詳しく解説します。

表面利回り

表面利回りとは、諸経費を考慮せず年間収入と投下資本だけで計算する利回り計算方法です。簡単に計算できる一方、経費が不明なので正確性に欠けるのが特徴です。

表面利回り=(年間収入合計÷総投下資本)×100

表面利回りは5%が投資の最低ラインと言われていますが、実際の利回りとギャップが大きいため、表面利回りだけで判断するのは危険でしょう。

実質利回り

実質利回りは、年間収入から経費を差し引いて計算します。そのため、表面利回りより実際の利回りに近くなります。計算式は以下の通りです。

実質利回り=((年間収入合計-諸経費)÷総投下資本)×100

実質利回りでは3%が最低ラインと言われています。経費分、表面利回りより低くなりますが、投資の際は実質利回りでの計算が必須です。諸経費には減価償却費や支払利子は含まれないので、注意してください。

自己資本手取額利回り

自己資本手取額利回りは、キャッシュ・オン・キャッシュのことです。名前の通り、自己資本に対する現金手取り額の割合を表しており、ほかの金融商品と比較する際に用いられます。

自己資本手取額利回り=現金手取額÷自己資本×100

借入金トータルや投資物件の価値そのもので計算するのではなく、その期間に動いた現金で考えるため、借入金返済額や家賃収入からリアルなリターンを知ることができます。この利回りで計算すると、元本を何年で返せるかなど、回収の目途が立てやすいのも特徴です。

【2023年】不動産タイプ別利回りの傾向

マンション

投資用物件は、主に3つのタイプに分けられます。

・区分マンション
・一棟アパート
・一棟マンション

それぞれ利回りの目安が異なってくるので、物件選びの参考にしてください。

区分マンション 7.06%
一棟アパート 8.06%
一棟マンション 7.69%

出典:不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家 ( けんびや )収益物件市場動向マンスリーレポート2023年6月

いずれも表面利回りになりますが、最低ラインの目安である5%は上回っています。区分マンションは、物価自体の価格が上昇しているため、今後は利回りも下がる可能性があります。

【2023年】地域別利回りの傾向

日本

利回りは地域によっても差があります。地方別、不動産タイプ別にそれぞれ見ていきましょう。

区分マンション・地域別利回り

北海道 11.37%
東北 11.78%
首都圏 6.50%
信州・北陸 16.61%
東海 8.85%
関西 7.31%
中国・四国 13.05%
九州・沖縄 10.37%

出典:不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家 ( けんびや )収益物件市場動向マンスリーレポート2023年6月

いずれも表面利回りなので、全体的に高くなっていますが、信州・北陸では16.61%と最低ラインを10%以上上回る利回りを記録しています。これは、不動産の価格がほかの地域より安いことも要因となっており、利回りが高いからといって、収益性があるとは限りません

一棟アパート・地域別利回り

北海道 11.58%
東北 11.77%
首都圏 7.52%
信州・北陸 12.53%
東海 9.29%
関西 9.21%
中国・四国 10.91%
九州・沖縄 9.12%

出典:不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家 ( けんびや )収益物件市場動向マンスリーレポート2023年6月

一棟アパートは全体で物件の値上がりが進んでおり、人口が多い地域は今後も価格高騰が予想されます。また、区分マンションと比べて、築年数が浅い物件が多い傾向があります。こちらも表面利回りなので、実質利回りはもう少し落ち着くでしょう。

一棟マンション・地域別利回り

北海道 9.15%
東北 10.28%
首都圏 6.92%
信州・北陸 12.84%
東海 9.24%
関西 8.18%
中国・四国 10.71%
九州・沖縄 9.02%

出典:不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家 ( けんびや )収益物件市場動向マンスリーレポート2023年6月

築30年程度の物件が多いほか、一棟丸ごと所有するため価格も高くなるのが一棟マンションの特徴です。ほかの2つのタイプに比べると表面利回りが低くなっています。物件自体が高い首都圏は最も利回りが低いですが、需要があるので低い利回りでも堅い運用ができそうです。

利回りが高くなる不動産の傾向

不動産投資をするのであれば、利回りは無視できません。利回りが高い物件はさまざまな要因が重なっていますが、一般的に以下の2つの要素があると利回りが高くなります。これから紹介する要素にはリスクも伴うため、ハイリスク・ハイリターンな物件であることを念頭においてくださいね。

駅から遠く利便性が悪い

駅から遠いと、駅近物件と比べて家賃が低くなるため、利回りが上昇します。また、駅周辺にスーパーやコンビニ、学校がないエリアも、利便性の高いエリアに比べて家賃が低いのが特徴です。
エリア選定が理由で利回りが高くなっている場合もあるため、地図で見るだけでなく、実際に足を運んでみることが重要です。

築古

築年数が経っている物件は新築に比べて家賃が安く、利回りが高くなります。
一方で、1981年以前に建てられた物件は、旧耐震基準を採用しているため、金融機関から融資を受けにくい可能性があります。

駅から遠く利便性が悪い、築古の2つの条件に該当する物件は利回りが高い一方、一般的にすぐには売れにくい物件のためリスクも高いことも忘れずに検討するとよいでしょう。

リスクを減らして利回りを高くするためには

不動産利回り

良い物件を選ぶと利回りは低くなりますが、リスクも減らせます。最後に、リスクを減らして高い利回りを期待できる物件の選び方を紹介します。

不動産投資で利回りの良い物件の選び方
・焦って物件を選ばない
・時代のニーズに合った物件である
・信頼できる相談相手を探す
・長期運用することを想定する
・融資は余裕を持って受ける
・ほかの投資観点からも検討する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

焦って物件を選ばない

物件探しをしていると、理想的な物件に出会うことがあります。その際、ほかの人に取られる前に購入したい!と思うかもしれませんが、焦って決定してはいけません。実は、立地が悪い、劣化が進んでいる、賃貸需要が少ないなど、投資用物件としてはデメリットとなる側面を持っている可能性があります。

また、そのような物件は表面利回りで掲載されているものの、実質利回りは低くなることがほとんどです。掘り出し物物件に出会ったときは、すぐに飛びつかずさまざまな観点から精査しましょう。

時代のニーズに合った物件である

女性

かつて、畳が主流だった日本家屋からフローリング主流の時代へ移行したように、住まいのあり方は時代によって変化していきます。付加価値の高い物件は家賃も高く設定できるため、安定した運用を実現できます。

家賃は上がるため表面利回りは下がりますが、空室が減ったり、広告費をかけなくて集客できたりと、実際の利回りが一定の水準をキープでき、高い利回りに繋がるでしょう。

近年では「スマートホーム」がニーズに合った物件のひとつです。スマートホーム化によって外から家電製品の操作ができるため、忙しい現代人の暮らしに合っているほか、防犯目的や年配者の見守りでも活用できます。

スマートホーム化の魅力
・ハンズフリーで解錠・施錠
・GPSと連動で一定距離から自動で照明や冷暖房のオン・オフ
・音声による家電操作
・電力・電気代の使用量確認

スマートホーム化の魅力については、以下の記事で詳しく解説しています。合わせてチェックしてください。

信頼できる相談相手を探す

不動産会社も良い会社だけとは限りません。収益性のない物件を勧められることも珍しくなく、担当者によっては知識が乏しいこともしばしば……。信頼できる相談相手がいれば、物件だけでなく運用方法、出口戦略など、確認してもらえます。
そのとき、自身に基礎知識がなければ、信頼できる情報なのか、相手の意図は間違っていないのかを判断できません。勉強を続ける努力は必要です。

長期運用することを想定する

時計

不動産投資は、株式投資やFXと違い長期間運用し安定した利益を享受することが目的です。目先の利益ではなく、10年後以降も過疎化しないエリアなのか、退去者が出たあとすぐ入居者が決まるような物件なのか、修繕費は継続して負担になりにくいか、など、長い目で想定しておかなければいけません。

短期間で高い利回りを得られても、将来の利回りが低ければトータルでマイナスになってしまうでしょう。反対に、修繕費や広告費がかかる初年度が利回りが低くなる物件も、翌年以降高い利回りを安定して得られる可能性もあります。

融資は余裕を持って受ける

借入額が多くなればなるほど、支払う利息が増えることから、融資をギリギリで組もうとしてはいけません。空室が出た際に返済が厳しくなる可能性があるため、返済期間と返済額には余裕を持っておきましょう。

なお、建物の減価償却から返済期間の上限を設けている金融機関もあります。投資物件の法定耐用年数は事前に確認しておきましょう。

ほかの投資観点からも検討する

利回り以外の観点から検討することで、実際に高い利回りが実現することがあります。代表的なのが「DCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)」です。DCF法では、対象不動産から得られるであろう複数年の純収益を現在価値に割り引いて収益性を評価します。

将来の価値と現在の価値の差を評価するため、利回りと合わせて検討してみてください。

不動産投資の利回り最低ラインは時代とともに変わる

投資をするならば、利回りを計算しなければいけません。しかし、不動産に限らず投資による利回りは不変であり、今後も変化を続けていきます。そのため、時代に合った物件を求め、時代に合わせた利回りの設定が重要です。

また、必ずしも高い利回りを期待できる物件が良いわけではありません。最低ライン周辺の利回りでも、安定した収益が継続される物件の方が魅力的でしょう。安定した収益に繋がる物件のひとつが、スマートホーム化された物件です。

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