賃貸をスマートホーム化して物件の魅力度をアップしたいと思っても、実際にどこからどこまでスマートホーム化すべきなのかは、悩みどころかもしれません。
利便性よりも、まずは安心・安全な物件にという観点であればスマートロックは外せないでしょう。
施錠はオートロックになり、ピッキングやサムターン回しの対策にも効果があるので、安心して暮らせる賃貸という印象を強く残せます
しかし、ほかにどこをスマートホーム化すれば、魅力ある賃貸として存在感を示せるのでしょうか。
そこで本記事では、どんなスマートホーム賃貸であれば、より魅力を引き出せるのかについて考察します。
あわせて、今後のスマートホーム賃貸には欠かせないであろうスマートロックについてくわしく解説します。
入居者が住みたいと思える魅力的なスマートホーム賃貸を考察
スマートホーム家電を中心にレビュー記事を運営されているBENRI LIFEさんが、2023年1月にスマートホームに関する興味深いアンケート結果を公開しました。
アンケートは、2023年1月にWebアンケート方式で行ったもので、サンプル数は1万を超えます。
スマートホーム事情の傾向をさぐるうえでは、十分な規模のアンケート結果といえるでしょう。
ここでは、公開されたBENRI LIFEさんのアンケート結果をもとに、魅力あるスマートホーム賃貸を考察してみます。
入居者がスマートホームに求めていること
BENRI LIFEさんのアンケートの中で、とくに注目したいのはスマートホーム家電の利用率です。
引用元:BENRI LIFE/日本におけるスマートホーム市場の動向とその発展の歴史、および今後の予測に関して(2023年版)
スマートホーム家電の中でも利用率が多いのは、スマートスピーカー(49.1%)やスマートリモコン(39.8%)といった暮らしの中で利便性を向上させるもの。
その一方で、住環境の安全性を高めるスマートロックは20.1%に留まっています。
利便性よりも安全性を重視するのが一般的かと思いきや、それとは真逆な結果になっているのはなぜでしょう?
その一番の理由は、日本の治安の良さではないかと考えています。
海外では、地下鉄でうっかり寝てしまうと、財布やカバンを盗まれるのは当たり前な地域があります。
しかし、日本ではめったにそういう事態になりません。
むしろ電車内に忘れた定期券が、数時間後に自分のもとにきちんと戻ってくるぐらいです(実話です)。
近年は犯罪が多様化し、全国各地でSNS強盗の被害が増加傾向にあるなど、昔と比べれば日本の治安も少し様変わりしてきています。
それでも「自分(うち)は大丈夫だろう」という意識はまだまだ強いので、セキュリティは後回しになりがちな傾向にあるのではないでしょうか。
利便性や快適性の向上は入居者でも実現しやすい
セキュリティよりも、利便性や快適性を向上させるスマートホーム家電に手を出しやすい理由は、もうひとつあります。
それは、スマートスピーカーやスマートリモコンは導入がそれほど難しくないからです。
さまざまなスマートホーム家電と連携させるためには、多少知識が必要な面もありますが、購入から設定までさほど時間をかけずに利用できます。
業者に頼らなくても利便性や快適性を向上可能な手軽さが、アンケート結果にもあらわれているのでしょう。
その一方で、たとえばスマートロックを導入する場合、消費者が気になる点はいくつもあります。
人間は防衛本能が強いので、新しいことを始めるときは、不安や懸念が先に思い浮かぶものです。
その結果、使う以前に導入でハードルの高さを感じ、『今すぐスマートロックにしなくてもいいだろう』という結論に落ち着いてしまうのかもしれませんね。
賃貸のスマートホーム化は入居者が手を伸ばしにくいところから
消費者が手を出しやすい部分をスマートホーム化しても、特別な付加価値を感じにくいかもしれません。
むしろ消費者がスマートホーム化に踏み出しづらい部分をカバーした物件のほうが、特別感をあたえられるのではないでしょうか。
BENRI LIFEさんのアンケート結果をふまえれば、スマートロック(20.1%)やスマートカーテン(13.2%)をそなえた賃貸物件が該当します。
スマートロックやスマートカーテンのように、入居者が手を出しにくい部分からスマートホーム化を検討することが、魅力ある賃貸物件への第一歩を踏み出すことになりそうです。
スマートロックを標準装備で安心・安全な賃貸に
スマートロックがすでに設置された賃貸物件であれば、安心・安全な住環境を提供できます。
また、安全性に力を入れている印象もあたえられるので、オーナーや賃貸物件に対する好感度アップも期待できます。
普段当たり前に感じていても、暮らしの中でもっとも重要なことは、安心・安全に過ごせることです。
スマートロックを標準装備し、今までよりも安心・安全な賃貸を実現すれば、あらためてその大切さを伝えるきっかけにもなるでしょう。
スマートロック導入で実現できること
スマートロックは、今後のスマートホーム賃貸には欠かせないものになるでしょう。
ここでは、スマートロックを導入すると実現できることについて解説していきます。
賃貸の防犯を強化できる
オートロック機能のあるスマートロックであれば、鍵の閉め忘れを気にする必要はなく、ピッキングなどによる不法侵入対策にも効果があります。
また、鍵はスマホアプリ、カードキー、暗証番号入力などさまざまな方式があり、いずれの方式でも簡単にドアをこじ開けられてしまうことはありません。
今までよりも防犯性に優れた賃貸は、入居者に安心感をあたえるでしょう。
内覧のときに鍵を渡す必要がない
賃貸物件は、内覧のときに鍵の受け渡しが必要です。
管理会社から鍵を渡してもらったうえで、内覧者とともに賃貸物件へ向かいます。
しかも、内覧が終わったら、その鍵を返却しなければなりません。
借りてから返すまでの間に鍵を紛失するリスクがあるので、簡単な作業とはいえ、内覧担当者にとってはストレスを感じる作業でもあります。
しかし、スマートロックを導入すれば、時限式の電子キーをスマホに設定できるうえ、リモートでも開錠・施錠が可能です。
鍵の受け渡し作業が不要になり、鍵を紛失するリスクもなくなるので、内覧業務の効率化とヒューマンエラー防止を実現します。
入退室など賃貸管理を効率化できる
スマートロックであれば、リモートで入退室の管理が可能です。
ドアの開錠・施錠を記録する機能を持っているものであれば、内覧者が時間通りに内覧できているかのチェックや空き室の不審な利用を、離れた場所からでも確認できます。
また、工事中・空き室・入居中のように、賃貸の状況に応じたモードに切り替えられるスマートロックもあるので、賃貸管理をより効率化できるでしょう。
退居のときに鍵交換が不要
従来の賃貸物件であれば、賃貸物件の退去時には鍵の交換が必要でした。
スマートロックであれば、入居者に発行した鍵を使用不能にしたりIDを削除したりすればいいので、鍵交換は不要です。
部屋ごとに数万円程度かかる鍵交換費用を抑えられるので、コスト削減につながります。
立会人が不要になる(スマート内覧システム)
スマートロックを導入すれば内覧時に鍵の受け渡しが不要になり、入退室の管理もリモートで可能なことがわかりました。
つまり、スマートロックを導入すれば、立会人不要で内覧可能なスマート内覧システムを実現できます。
スマート内覧システムは、受付から内覧終了までを無人で対応可能なシステムです。
内覧者は好きな時間に内覧できるようになり、賃貸の管理側もスタッフを派遣する必要ないので、業務の効率化とコスト削減を期待できます。
スマートロックの種類
スマートロックの種類も確認しておきましょう。
ここでは、スマートロックの設置方式と鍵のタイプについて解説します。
スマートロックの設置方式別
スマートロックの設置方式には、交換型・後付け型・電子錠型の3種類があります。
交換型には、シリンダーを交換するタイプのものと、ドアやシリンダーに直接加工をほどこす穴あけ工事型があります。
いずれも工事が必要ですが、ねじなどでしっかり固定できるので、落下の心配がなく長期間の利用に向いています。
後付け型は、粘着テープで設置するタイプなので特別な工事は必要ありません。
ただし、誰でも簡単に設置できる反面、経年劣化で落下してしまう可能性がある点とサムターンやドアノブの形状によっては設置できない点に注意が必要です。
電子錠型は、鍵を電気で制御するタイプのもので、警備会社と連動させるような強固なセキュリティを必要とするビルやオフィスに向いています。
スマートロックの鍵タイプ別
スマートロックの鍵にはさまざまなタイプがあり、たとえば下表に示すようなものがあります。
スマホアプリ式 | スマホアプリで開錠・施錠するタイプ。スマホで入退室の記録確認ができるものもある。 |
---|---|
カード式 | カードをかざして開錠・施錠するタイプ。 |
暗号番号入力方式 | ドアに設置されたテンキーに暗証番号を入力して開錠・施錠するタイプ。 |
ハンズフリー方式 | ドアに近づくと感知して開錠できるタイプ。専用の端末やスマホをカバンに入れておけば、ハンズフリーで開錠できる。 |
スマートロック導入前に注意すべきこと
スマートロックを導入するうえでの注意点も確認しておきましょう。
電源はどのように確保するのか
スマートロックの電源には、電池方式と電源接続方式があります。
電池方式は、停電の影響を受けないメリットがある一方で、電池残量がなくなれば使えなくなってしまうのがデメリットです。
電源接続方式は、ビルなどの共用電源に接続して利用するため、電池のように残量を気にする必要はありません。
ただし、非常用電源を備えていない場合、停電時に利用できなくなるデメリットがあります。
どちらの場合においても、停電時や緊急時の対応方法を入居者にきちんと説明しておくことが必要でしょう。
緊急時の開錠方法はあるか
停電時やスマホの故障など、緊急時にも施錠・開錠できるタイプかどうかは事前に確認が必要です。
また、施錠・開錠を行えるのがスマホのみ場合、スマホの故障や充電切れ、スマホの紛失が原因で入居者が締め出されてしまう可能性があります。
スマホ以外に、マルチデバイスに対応したものや物理鍵でも開錠できる手段があれば入居者も安心です。
賃貸に後付けで設置できるか
工事費用をあまりかけず、後付けで賃貸物件にスマートロックを設置できるかどうかも重要なポイントのひとつ。
スマートロックの種類で説明したように、交換型や後付け型はドア周辺以外大きな工事を必要とせず設置できます。
ただし、ドアノブと鍵が一体化していたり、鍵が特殊な形状のものは設置できなかったりするケースが多いので注意してください。
また、シリンダー交換型であっても、シリンダーの種類によっては取り付けられないケースもあります。
賃貸物件のドアノブやサムターンに合うスマートロックかどうかは、事前にしっかり確認しておきましょう。
リンクジャパンのeLifeでスマートロック完備の賃貸物件に
本記事では、魅力あるスマートホーム賃貸について考察し、入居者が手を伸ばしにくい部分からのスマートホーム化をおすすめしました。
BENRI LIFEさんのアンケート結果をふまえても、防犯効果を期待できるスマートロックは、今後の賃貸物件に標準装備としてそなえつけたほうが、付加価値のある賃貸としての好印象をあたえられそうです。
ただし、スマートロックの導入以外にどこまでスマートホーム化すればいいかについては、さまざまな観点からの検討が必要なこともたしかです。
当社リンクジャパンが提供しているスマートホームサービス「eLife」であれば、お客さまの状況をふまえたスマートホーム化を提案可能です。
賃貸のスマートホーム化をご検討の際には、ぜひリンクジャパンにご相談ください。