スマートリモコンは、赤外線対応の家電を遠隔操作できる便利なスマートデバイス。
すでにご家庭に導入し、その便利さを味わっている人もいるのではないでしょうか。
しかし、こんな疑問を持ち、導入前に立ち止まっている人もいるかもしれません。
「どんな仕組み?導入するにはなにが必要かわからない…」
「何か問題が起きたらどうすればいい?」
そこで本記事では、スマートリモコンの仕組みを、初心者向けにわかりやすく解説していきます。
うまく動作しないときの原因やおすすめの製品を選ぶポイントも紹介しているので、スマートリモコンの理解を一歩進める入門書としてご活用ください。
スマートリモコンの仕組みを支える4つの技術要素
スマートリモコンは大きく4つの技術要素に支えられて動作しています。
それぞれくわしく見ていきましょう。
赤外線通信
スマートリモコンの仕組みを支える技術のひとつめは、赤外線通信です。
従来の古い家電は赤外線通信で操作する製品がほとんどで、家電ごとにリモコンが必要です。
これらの赤外線対応家電が複数あってもアプリひとつで操作できるうえ、外出先からの遠隔操作も可能にするデバイスがスマートリモコン。
最新の家電に買い替えなくても、自宅にある古い家電をスマート化できることは、スマートリモコン最大のメリットといえます。
また、赤外線通信には以下の特徴があることも、あわせて押さえておきましょう。
- 電波干渉が少なく、安定した通信を行える
- 電力消費が少ない
- 通信する際は、家電に向けて赤外線を照射する必要がある
- 赤外線の有効範囲には制限がある(最大50mほど)
- 壁などの遮蔽物を通過しづらい
インターネット(Wi-Fi)
スマートリモコンは、いわゆるIoT(Internet of Things)デバイスなので、インターネットと接続できます。
家電の操作は赤外線通信で行いますが、スマホやほかのデバイスとの連携は、インターネットを通じて行うことになります。
つまり、スマートリモコンを導入するにはWi-Fi環境が必要です。
逆に言えば、インターネット環境に不具合があると、スマートリモコンは利用できないリスクがあるともいえます。
このリスクを回避するために、Bluetooth通信にも対応している製品もあります。
クラウド環境
クラウド環境も、スマートリモコンの仕組みを語るうえで重要な技術要素のひとつですが、利用者はあまり意識していないかもしれません。
クラウド環境はインターネット上に存在するサーバーで、大量データの蓄積・解析・変換を得意分野としています。
そのためスマートリモコンの場合、クラウド環境は家電に指示する内容を適切な赤外線データに変換することを目的として利用されるのが一般的です。
スマートリモコンが、操作したい家電に正しい指示を送るうえで、クラウド環境は欠かせません。
ただし、クラウド環境の接続には前述のインターネットが必要です。
インターネットにつながらない場合はもちろん、クラウド環境に障害が発生すると、スマートリモコンが機能しなくなるリスクがあります。
このリスクを回避する手段として、家電操作のデータをスマートリモコンに保存する仕組みを採用している製品もあります。
その場合、障害発生時は保存されたデータを利用するので、問題なく遠隔操作が可能です。
スマートホーム統合アプリ
スマートリモコンから家電に指示を与える際に必要な技術要素が、HomeLinkのようなスマートホーム統合アプリです。
スマホやタブレットにインストールすると、スマートホーム統合アプリが家電のリモコンになるといえばわかりやすいかもしれません。
ただし、スマートホーム統合アプリの役割は、スマートリモコンで家電を操作することだけに留まりません。
スマートスピーカーと連携した声による家電の操作や、特定の時間やシーンに応じた自動操作は、スマートホーム統合アプリによって実現します。
つまり、スマートリモコンだけでなく、さまざまなスマートデバイスの動作をコントロールする役割を持つのがスマートホーム統合アプリ。
PCのWindowsのように、住宅のOS(基本ソフト)のような存在が、スマートホーム統合アプリというわけです。 リンクジャパンのスマートホーム統合アプリHomeLinkは、こちらの記事でくわしく解説しています。
スマートリモコンが家電を遠隔操作する仕組み
ここまでの解説で、スマートリモコンがどのように家電を遠隔操作しているのか、具体的にイメージがすでに湧いているかもしれません。
おさらいの意味を含め、スマートリモコンが家電を遠隔操作する仕組みを、照明の操作を例に見ていきましょう。
今までに解説した4つの技術要素を踏まえると、スマートリモコンで照明を操作するまでの仕組みは以下の流れになります。
- スマートホーム統合アプリで照明にONの指示を出す
- Wi-Fiを介してクラウド環境に照明をONにする指示が送信
- クラウド環境で照明をONにする赤外線データに変換
- クラウド環境からWi-Fiを介してスマートリモコンに赤外線データを送信
- スマートリモコンが赤外線データが照射される
- 赤外線データを受け取った照明が点灯する
必要な技術要素と、それぞれの役割が明確だと、スマートリモコンの仕組みも頭にスッと入ってくるのではないでしょうか。
スマートリモコンがうまく動作しないときは?
スマートリモコンがうまく動作しないとき、どう対処したらいいか戸惑ってしまうかもしれませんが、前述の仕組みを理解していると慌てることは少なくなります。
ここでは、すでに解説した主要な4つの技術要素を切り口に、トラブル時の原因を解説していきます。
家電に赤外線が届かない
スマートリモコンによる家電の操作が正常に動作しない場合、何らかの理由で、赤外線が家電に届かない状況にあるのかもしれません。
後述のインターネットが接続できない場合などを除き、赤外線が届かない状況は、以下が考えられます。
- 家電をスマートリモコンの赤外線有効範囲から外れた場所にある
- スマートリモコンと家電の間に壁などの遮蔽物がある
スマートリモコンの赤外線有効範囲は、距離は10m前後で水平方向は360度をカバーする製品が多いです。
一方で10m以上の距離でも届く製品や、個人向けと法人向けで仕様が異なるなど、メーカーによって仕様はさまざまです。
スマートリモコンの赤外線有効範囲をしっかり押さえたうえで利用しましょう。
また、赤外線は壁などの遮蔽物があると通過しにくい特性があります。
スマートリモコンと操作する家電の間には、さえぎるものがないように設置してください。
インターネットに接続できない
インターネットに接続できないとスマートリモコンが動作しないことは、仕組みの解説でも触れました。
インターネット自体に不具合があるケースはもちろんですが、Wi-Fiの周波数帯が製品仕様を満たしていない場合も接続できません。
Wi-Fiは2.4GHz帯でなければ接続できない製品が多いので、こちらも製品の仕様を事前にしっかりと確認しておきましょう。
クラウド環境で障害が発生している
クラウド環境でなんらかの障害が発生していると、スマートリモコンは動作しません。
前述の解説から引用すれば、家電を操作するための赤外線データに変換できないため、スマートリモコンから対象の家電への操作指示を送れないのです。
実際にクラウド環境で有名なAWSで障害が発生し、スマートリモコンなどのスマートデバイスが一時的に利用できなくなったことがあります(2023年6月)。
参考:AWS、一時大規模障害 スマホで家電など操作できず – 日本経済新聞
クラウド環境が必須のスマートリモコンの場合、クラウド環境で障害が発生してしまうと、復旧を待つしかないケースがあります。
スマートリモコンの設置やインターネット接続に問題がないときは、製品メーカーのSNSや公式サイトでクラウド障害に関する投稿がないかをチェックしてみるといいでしょう。
また、Bluetoothに対応したスマートリモコンなど、クラウド障害にも強い製品を選ぶのもひとつの手段です。
ちなみにリンクジャパン製品は、複数のクラウド環境を利用することで、障害発生時のリスクを分散しています。
そのため、2023年にクラウド環境のAWSで障害が発生した際も、普段通り問題なく使用できました。
また、(一部製品を除き)基本仕様としてインターネットが切れた場合でも、ローカルWi-Fiで宅内での機器操作が可能なため安心してお使いいただくことができます。
アプリの設定が間違っている
アプリの設定が原因でスマートリモコンが動作しないケースは、タイマー設定や特定のシーンでの設定が間違っているケースでしょう。
タイマー起動や特定のシーンでの動作では、以下を確認してみましょう。
- 動作する条件が正しいか(時間・温度・天気など)
- 動作する内容が正しいか(照明ならON・OFFや明るさの設定など)
- 設定がそもそも有効になっているか
スマートリモコンができることは?
スマートリモコンの仕組みやトラブル時に考えられる原因を理解したら、あとは日常生活でスマートリモコンを有効活用するだけ。
ただし有効活用するには、スマートリモコンで何ができるのかも理解しておくことが重要でしょう。
以下は、スマートリモコンができることの一例です。
- 複数のリモコンを統合アプリひとつに集約できる
- 照明やエアコンなど、外出先からでも家電を遠隔操作できる
- スマートスピーカーと連携すれば声で家電を遠隔操作できる
- タイマー設定やシーン別設定を活用すれば、統合アプリで指示を出さなくても家電を自動で操作できる
- さまざまな家電やスマートデバイスと連動すれば、より便利で快適な日常生活を送れるようになる
統合アプリひとつで家電のリモコンを一元管理できるうえ、家でも外出先からでも遠隔操作できるのが、スマートリモコンの醍醐味。
しかし、その使い方だけで満足してしまうのはもったいないです。
3番目以降に挙げたような、スマートスピーカーとの連携やタイマー起動や特定の条件で動作する自動操作など、自宅のスマートホーム化を意識して利用するのがもっともおすすめの活用方法です。
特に連動設定は、必要なときに必要な家電だけ動作するよう設定できるので、省エネにもつながります。
自分で操作しなくても、身の回りの家電が期待どおりに自動で動作する環境の快適さを、ぜひ一度味わってみてください。
住宅のスマートホーム化は、以下の記事でくわしく解説しています。
どんなスマートリモコンがおすすめ?
ここからは、スマートリモコンを選ぶときに押さえておきたいおすすめのポイントを解説します。
これからスマートリモコンを導入したいと考えている人は、製品選びのヒントとして参考にしてください。
だれでも簡単に設定できる
便利な機能が豊富なスマートリモコンであっても、設定が難しそうだと手を出しづらいですよね。
どのメーカーの製品も、数ステップの手順を踏めば簡単に設定できるケースが多いです。
メーカーによっては、公式サイトで設定方法の動画を公開していることもあるので確認してみると、よりイメージが湧きやすいでしょう。
たとえばリンクジャパンのeRemote5の場合、わずか3ステップで設定を完了できます。
スマートスピーカーとの連携方法を含めた設定方法の動画も用意しているので、確認してみてください。
アプリが使いやすくて連携機器が豊富
スマートリモコンの操作や設定を行うのは、HomeLinkのような統合アプリです。
そのため、統合アプリがだれでも簡単に扱いやすいかどうかは、スマートリモコンを選ぶ際の重要なポイントになります。
たとえば、以下の観点でチェックしてみてください。
- マニュアルなどの細かい説明がなくても、直感的に操作方法がわかる
- 家電ごとの設定や特定シーンでの連動設定などを簡単に行える
- 天気やGPSと連動した設定ができる
- 連携できる家電やデバイスが豊富で、スマートホーム化を進めやすい
- アプリや家電を操作する際の反応速度が早い
また、使い方で困ったときやトラブルが発生した際のサポート体制が充実しているかどうかも、あわせて確認しておくと良いでしょう。
アレクサなど主要な音声アシスタントに対応
スマートリモコンは、スマートスピーカーと連携すれば家電を声で操作できます。
家事の最中や、帰宅時にバッグや買い物袋などで両手がふさがっているときでも、ハンズフリーで家電を操作できるので非常に便利です。
そのため、スマートリモコンを導入する際は、どのスマートスピーカーと対応しているのかも確認しておくのがおすすめです。
スマートスピーカーといえば、Amazon・Google・Appleの製品が人気で、多くのスマートリモコンがこの3大メーカーのスマートスピーカーに対応しているでしょう。
スマートスピーカーの詳細は、以下の記事でもくわしく解説しているので、参考にしてみてください。
置き場所で悩まないデザイン
スマートリモコンは部屋のインテリアのひとつとしても考えられるので、設置場所に困らず、部屋に馴染むデザインかどうかも気になるポイントでしょう。
どこのメーカーの製品も、白または黒が基調のカラーリングで、手のひらに収まるくらいのコンパクトなサイズが多いです。
形状はスクエアもしくはサークル状で高さが20~30mm前後の製品が多い一方、立方体の形状や円柱型のものなどメーカーによって違いが出やすい部分でしょう。
リンクジャパンのeRemote5の場合、壁掛け設置が可能です。
床やテーブルの上だけでなく壁も設置場所として利用できるので、赤外線の届きやすい範囲と置き場所の幅が増えます。
一方で法人向けの法人向けのeRemote ACは、シンプルかつコンパクトなデザインを採用し、ケーブルもありません。
サイズは縦横69mmで、エアコンのコンセントに直挿しで設置できるため、スマートリモコンとは気づかないかもしれません。
インテリアに完全に溶け込むデザインなので、エアコン付きの賃貸物件に設置しても、引っ越し時に入居者が間違えて持っていってしまうようなことはないでしょう。
生活に直結するセンサーが付属あるいは連動可能
スマートリモコンによっては、生活に直結するセンサーが付属している製品もあります。
たとえば、温湿度・照度・人感などのセンサーです。
また、統合アプリにGPSと連動する機能があれば、統合アプリをインストールしたスマホの位置を基にした連動設定が可能です。
センサーやGPSを利用できれば、生活により密着した連動設定を行えるので、こちらも購入前にあわせて確認しておきましょう。
たとえばリンクジャパンのeRemote5は温湿度センサー付きなので、部屋の温度や湿度に応じた家電の連動操作を実現できます。 また、統合アプリHomeLinkにはGPS連動機能があるので、帰宅前・外出時など、自宅から人が離れた距離に応じて家電の自動操作が可能です。
一方で法人向けのeRemote ACの特徴は、エアコンの消費電力の見える化です。
エアコンは電力消費の多い家電で、夏や冬は特に電気代が気になりますよね。
eRemote ACであれば、エアコンの消費電力や電気代の目安を目で見て確認できるので、省エネにもつながる物件としてアピールしやすいでしょう。
まとめ|スマートリモコンの仕組みを理解し適切な製品を導入しよう
本記事では、スマートリモコンの仕組みに焦点を当て、以下の観点で解説しました。
スマートリモコンが家電を遠隔操作する仕組みは、それほど難しいものではありません。
また、本記事で解説した4つの技術要素がベースであることを押さえておけば、スマートリモコンがうまく動作しないときでも慌てず対応できるでしょう。
スマートリモコンの仕組みとできることを把握し、日常生活に溶け込むような使い方をしてみてください。
そのためには、スマートリモコン以外のスマートデバイスも活用し、住宅のスマートホーム化を目指すのがおすすめです。
リンクジャパンではスマートホーム統合アプリHomeLinkを軸に、さまざまなスマートデバイスや法人向けサービスを提供しています。
スマートリモコンを個人で設置するならeRemote5。
法人向けなら、スマートホームサービスeLifeによってeRemote ACなど複数のスマートデバイスを導入し、物件の付加価値を向上できます。