介護施設や病院の運営において、ナースコールシステムは利用者の安全を守る「生命線」です。しかし、長年使い続けた既存設備の老朽化や、更新に伴う数千万円規模の工事費用に頭を悩ませている施設長や経営者の方は少なくありません。
介護現場の「ナースコール」課題とスマホ連携が必要な理由
従来のナースコールシステムは、長らく「有線接続」と「専用PHS」が主流でした。しかし、テクノロジーの進化と現場環境の変化により、この旧来型モデルの限界が浮き彫りになっています。まずは、多くの施設が直面している課題と、なぜ今「スマホ連携」が必要なのかを整理します。
従来型ナースコールの限界:高額な導入費と配線工事の壁
従来型のナースコールシステムを更新する際、最大のネックとなるのが莫大なコストと工期です。
有線式のシステムは、各居室からスタッフルームの親機まで、天井裏や壁の中に物理的なケーブルを張り巡らせる必要があります。このため、機器代金だけでなく、大掛かりな配線工事費が発生し、トータルで数千万円から億単位の初期投資が必要になるケースも珍しくありません。
| 従来型ナースコールの課題 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 高額な初期費用 | 機器費に加え、配線工事費が重くのしかかる。 |
| 工事の難易度 | 施設を稼働させながらの工事は騒音やプライバシーの問題がある。 |
| 柔軟性の欠如 | 部屋のレイアウト変更や増床時に、配線の追加工事が必要になる。 |
| 更新サイクルの縛り | 耐用年数(約10〜12年)ごとの全面刷新が経営を圧迫する。 |
特に、24時間365日稼働している介護施設や病院では、工事のために居室を空けることが難しく、「更新したくてもできない」というジレンマに陥りがちです。配線工事が不要になれば、こうした経営リスクを根本から解消できるのです。
スタッフを疲弊させる「行かないと分からない」呼び出し

現場スタッフにとって最も切実な課題は、「コールの緊急度が分からない」という点です。
従来のシステムでは、親機やPHSに「部屋番号」が表示されるか、音声通話ができる程度にとどまります。そのため、「転倒して動けないのか」「テレビのリモコンを取ってほしいだけなのか」、実際にスタッフが居室まで足を運んで確認するまで判断がつきません。
その結果、以下のような悪循環が生まれています。
- 無駄な訪室の増加: 緊急性の低い用件でも必ず駆けつけるため、移動だけで時間と体力を消耗する。
- 業務の中断: オムツ交換や食事介助などのケア業務が頻繁に中断され、集中できない。
- 精神的ストレス: 「またコールが鳴った」というプレッシャーと、見に行かなければならない義務感による疲弊。
- 感染リスクの増大: 必要以上の接触機会が増えることで、インフルエンザやCOVID-19などの院内感染リスクが高まる。
「行かなくても状況が分かれば、もっと優先順位をつけて動けるのに」──これが現場の本音ではないでしょうか。
なぜ今「スマホ連携」が選ばれるのか?
こうした背景から急速に普及しているのが、スマートフォンと連携したナースコールシステムです。
2020年以降、PHSの公衆サービス終了(※構内PHSは継続利用可能ですが、端末や設備の選択肢は狭まっています)に伴い、通信手段をスマートフォンへ移行する施設が増加しています。
スマホ連携には、単なる「PHSの代わり」以上のメリットがあります。
- 場所を選ばない受信: Wi-Fiや4G/5G回線を利用するため、施設内のどこにいても、あるいは敷地外の管理者でも通知を受け取れます。
- デバイスの集約: ナースコール、内線電話、介護記録入力、チャット連絡がスマホ1台で完結します。PHSとインカム、PDAを複数持ち歩く重装備から解放されます。
- データの活用: 誰がいつ対応したか、どのようなコールが多いかといったデータを蓄積・分析し、人員配置の最適化に役立てられます。
スマホ連携は、もはや「便利なオプション」ではなく、業務効率化とスタッフの働き方改革を実現するための必須インフラとなりつつあります。
次世代ナースコール「eBell(イーベル)」とは?他社との決定的な違い
数あるスマホ連携ナースコールの中で、リンクジャパンが提供する「eBell(イーベル)」は、「ビデオ通話」と「工事不要」を両立させた画期的なソリューションとして注目を集めています。他社製品と比較して何が決定的に違うのか、その特長を深掘りします。
【最大の特徴】ビデオ通話で「駆けつける前の状況把握」が可能に
eBellの最大のアドバンテージは、呼び出しと同時に「ビデオ通話」が繋がる点です。
多くのスマホ連携ナースコールは「通知+音声通話」ですが、eBellはカメラ付きのデバイスを使用することで、スタッフはスマホの画面越しに利用者の様子をリアルタイムで確認できます。
ビデオ通話がもたらす「トリアージ(優先順位付け)」効果:
- 緊急時の即応: 転倒や意識消失など、映像で危険を察知したら、他のスタッフへ応援を要請しながら全速力で駆けつけることができます。
- 訪室の抑制: 「寂しいから話したい」「エアコンを調整して」といった緊急性の低いコールであれば、映像越しに笑顔で対応したり、遠隔操作で室温を変えたりすることで、訪室せずに対応を完了できます。
- 安心感の提供: 声だけでなくスタッフの顔が見えることで、利用者にとっても大きな安心感に繋がります。
実際、eBellを導入した現場からは、「映像で確認できるため、夜勤帯の不要な巡回や訪室が大幅に減った」という声が多数寄せられています。「行かなくていい訪室」を減らすことこそ、最強の業務効率化です。
完全ワイヤレス・工事不要で即日導入できる仕組み
eBellは、従来の常識を覆す「完全配線レス」のシステムです。
必要なのは、施設内のWi-Fi環境と、デバイスへの給電(コンセントまたはUSB)のみ。天井裏にLANケーブルを這わせたり、壁に穴を開けて制御盤を埋め込んだりする工事は一切不要です。
工事不要がもたらす経営的メリット:
- 初期コストの劇的削減: 数千万円かかっていた配線工事費がゼロになります。
- 導入スピード: 機器が届いたその日から、Wi-Fiに繋ぐだけですぐに運用を開始できます。
- 設置場所の自由度: ベッドサイドだけでなく、トイレ、浴室(防水対応が必要)、共有スペースなど、電源さえあればどこでも設置可能。
- テナント・在宅への対応: 壁を傷つけないため、賃貸物件を利用した施設や、一般住宅での在宅介護にもスムーズに導入できます。
既存のナースコールが壊れた部屋から順次eBellに置き換えていく「スモールスタート」も容易であり、予算に合わせた柔軟な導入計画が立てられます。
アプリ「eMamo」で一元管理:ナースコールから見守り・家電制御まで
eBellは単体のナースコールアプリではなく、リンクジャパンが提供する見守りに特化したスマートホームアプリ「eMamo(イーマモ)」上で動作します。これが他社製品にはない、圧倒的な拡張性を生み出します。
「eMamo」アプリ一つで、以下の機能がシームレスに連携します。
- ナースコール (eBell): ビデオ通話で対応。
- 見守りセンサー: ドアの開閉、温湿度、心拍・呼吸(ミリ波レーダー)などを検知し、異常があれば同じアプリに通知。
- 家電制御: エアコン、テレビ、照明、電動カーテンなどをアプリから遠隔操作。
例えば、猛暑の日に高齢者がエアコンをつけずに脱水症状になりかけている場合、eMamoセンサーが高温を検知してアラート → eBellのカメラで様子を確認 → アプリから遠隔でエアコンをONにするといった連携が、スタッフのスマホ1台で完結します。
ナースコールを入り口として、将来的に施設全体を「スマートホーム化(スマート施設化)」できるプラットフォームとしての価値が、eBellにはあります。
医療・介護施設での「eBell」導入事例と効果
理論上のメリットだけでなく、実際にeBellを導入し、成果を上げている現場の事例をご紹介します。
【病院事例】おうちにかえろう病院様:不要な訪室を減らし院内感染対策へ
東京都にある「おうちにかえろう病院」様(120床)では、開院当初よりリンクジャパンと共同開発したeBellシステムを全病室に導入しています。
導入の背景と効果:
リハビリテーションや在宅復帰支援を主軸とする同院では、スタッフが本来のケア業務に集中できる環境づくりが課題でした。eBell導入により、ナースコールが鳴った瞬間に患者様の状況を映像で把握できる体制を構築。
その結果、「緊急性のない呼び出し」に対する訪室回数を削減し、スタッフの移動負担を軽減することに成功しました。また、COVID-19流行下においては、ビデオ通話による非接触対応が院内感染リスクの低減に大きく寄与しました。
【コロナ病棟事例】亀田病院様:緊急導入で実現した非接触対応
千葉県の大規模総合病院である亀田総合病院様では、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる専用病棟の立ち上げに際し、eBellを採用しました。
導入の決め手:
感染症病棟では、スタッフと患者の接触を最小限に抑える必要がありますが、患者の容体急変には即座に気づかなければなりません。既存のナースコール配線工事を行う時間的余裕がない中、「Wi-Fiがあれば工事不要ですぐ使える」というeBellの即効性が採用の決め手となりました。
運用の成果:
患者はタブレット端末を通じてスタッフと顔を見て会話ができ、孤独感の解消にも繋がりました。スタッフ側も、防護服を着脱して入室する回数を必要最小限に抑えられ、安全かつ効率的な医療提供体制を実現しました。
在宅介護・サ高住での活用:家族も参加できる「つながる」安心感
eBellの活躍の場は施設だけにとどまりません。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や、在宅介護の現場でも「家族とつながるナースコール」として選ばれています。
3者間通話によるチームケア:
特許技術である「3者間ビデオ通話機能」を活用すれば、利用者・介護スタッフ・遠方に住む家族の3者が同時に通話に参加できます。
例えば、訪問介護スタッフが不在の時間帯に利用者がコールを押した場合、まずは家族のスマホに通知が飛び、家族が対応できない場合は提携する事業所へ通知が転送されるといった柔軟な設定も可能です。
「施設に入っても家族と顔を見て話したい」「離れて暮らす親の緊急時にすぐ気づきたい」というニーズに対し、eBellはコミュニケーションツール兼緊急通報装置として機能します。
導入までの流れとよくある質問
「工事不要といっても、本当に簡単に導入できるのか?」という疑問にお答えするため、導入フローとよくある技術的な質問をまとめました。
ステップはたったの4つ!最短での運用開始フロー
大規模な配線工事が不要なため、導入プロセスは極めてシンプルです。
- Wi-Fi環境の確認:
各居室で2.4GHz帯のWi-Fiが安定して繋がるか確認します。電波が弱い場合は、中継機やメッシュWi-Fiの設置を検討します。 - お問い合わせ・プランニング:
リンクジャパンへお問い合わせいただき、必要な台数やアカウント数に応じたプランを作成します。 - 機器設置・アプリ設定:
本体を居室の適切な位置に設置(両面テープやネジ止め、または卓上設置)し、電源を入れます。スタッフのスマホに「eMamo」アプリを入れ、デバイスを登録します。 - 運用テスト・開始:
実際にボタンを押し、通知とビデオ通話が正常に動作することを確認して運用スタートです。
Wi-Fi環境やセキュリティに関するQ&A
Q1. 夜間など暗い部屋でも映像は見えますか?
A1. はい、問題ありません。
eBellのカメラには高性能なナイトビジョン(暗視)機能が搭載されています。消灯後の真っ暗な部屋でも、赤外線カメラによって利用者の表情や様子をクリアに映し出すことができます。
Q2. 通話内容や映像は記録されますか?
A2. はい、記録可能です。
通話履歴はクラウド上に自動保存されます。また、本体にmicroSDカードを挿入すれば、常時録画や動体検知録画も可能です。万が一の事故やトラブルの際、映像証拠として振り返ることができるため、施設側のリスク管理としても有効です。
Q3. 既存のナースコールと併用できますか?
A3. もちろんです。
既存システムを撤去せず、見守りを強化したい部屋や、故障した箇所の代替としてeBellを部分的に導入することも可能です。予算に合わせて徐々に切り替えていく運用をおすすめしています。
現場のDXはナースコールの見直しから始めよう
コスト削減とスタッフの負担軽減を両立するために
介護・医療業界を取り巻く環境は厳しさを増しています。人材不足の解消と経営の安定化を図るためには、旧来の設備ややり方に固執せず、デジタル技術を活用して賢く効率化を図る「現場DX(デジタルトランスフォーメーション)」が不可欠です。
その第一歩として最も効果を実感しやすいのが、ナースコールのスマホ連携です。
リンクジャパンの「eBell」なら、以下の価値を即座に現場へ提供できます。
- 数千万円の工事費を削減し、経営資源を人材確保やサービス向上に回せる。
- ビデオ通話による「行くかないケア」で、スタッフの無駄な移動とストレスを半減させる。
- IoTプラットフォームによる拡張性で、未来のスマート施設化へスムーズに移行できる。
「配線工事ができないから」「予算がないから」と諦める前に、ぜひ一度eBellによる解決策をご検討ください。
eBellの詳細を知るには?
eBellの画質やアプリの操作性、具体的な導入費用シミュレーションについては、詳細資料にてご案内しております。既存のWi-Fi環境で使えるかどうかのご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
\ 工事不要・スマホ連携で介護現場が変わる /
次世代スマートナースコール「eBell」
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