一昔前と比べるとIoT家電も当たり前な時代になり、AIを搭載したスマート家電が登場するなど、その便利さは格段にアップしています。
AI技術が近年日々発展していることをふまえれば、IoTデバイスもさらなる進化を遂げていくであろうことは容易に想像できます。
ただし、「IoTとは?」と聞かれたときに、意味や仕組みを正確に答えられる人は意外に少ないかもしれません。
そこで本記事では、IoTの意味や仕組みにくわえ、AI時代も踏まえた最新事例をわかりやすく解説していきます。
IoTとは
まずは、IoTの定義やその歴史について、簡単に確認していきましょう。
読み方と定義
IoTとは、「Internet of Things」の略語で、読み方は「アイオーティ」。
日本語では「モノのインターネット」と訳されるのが一般的です。
「モノ」にはPC・スマホにくわえ、照明や時計あるいはセンサーのような小さなデバイスから、家電や自動車に工場の生産ラインまで、ありとあらゆる物が含まれます。
コンピューター同士が通信できることを想定して作られたインターネットを、さまざまなモノにも活用することで、人が介在しなくても動作する機能やシステムを実現しようという目的で生まれたのがIoTです。
IoTの歴史:ユビキタスとの違いは?
IoTという言葉自体は意外に古く、生まれたのは1999年です。
ただし、当時インターネットは普及前で、IoTデバイスの核となるセンサーも高価な時代。
IoTが世の中に浸透するためにはハードルが高く、実は言葉が生まれてすぐに忘れ去られた過去があります。
IoTに代わり機械同士が通信するM2M(Machine to Machine)が2000年頃から広まり始めますが、企業内といった閉じた環境に限定されていました。
この状況を打破するきっかけを作ったのは、スティーブ・ジョブズが2007年に世に送り出したiPhoneでしょう。
iPhoneによってスマートフォン(スマホ)が世界中に普及し、スマホに使用されるさまざまなセンサーを安価に大量生産できるようになったからです。
毎日何気なく使っているスマホには、今のIoTデバイスには欠かせないジャイロ・加速度・輝度・光など、さまざまなセンサーが使われています。
スマホが新たな産業革命をもたらしたといわれる理由はここにあります。
2008年から2009年の間に、世界の人口以上のデバイスがインターネットに接続されるようになった事実は、それを証明するひとつといえるでしょう。
※CiscoIBSGのディブ・エヴァンスが2011年に発表したリポートによる。
ちなみにIoTと似たような概念に、ユビキタス・コンピューティングがあります。
ユビキタスは1988年ごろに提唱された概念で、コンピューターとネットワークが世の中に浸透し、人がその存在を意識することなく、いつ・どこからでもさまざまな情報にアクセスできる環境のことを指しています。
つまり、IoTが広く普及した社会のゴールがユビキタスであり、私たちは今まさにユビキタスの時代へと着実に歩んでいるのです。
IoTの仕組みとAIの活用
ここでは、IoTの仕組みにくわえ、今日急速に発展し続けているAI技術とIoTの組み合わせについて見ていきましょう。
IoTを構成する4つの要素
IoTを構成する要素としては、以下の4つが挙げられます。
要素 | 説明 |
---|---|
モノ | IoTの主役。PC・スマホ・タブレット・家電・照明・時計・カーナビ・ロボット・ドローンなど、あらゆるデバイスが該当します。 |
センサー | 人・光・音・温度・湿度・位置・重量・においなどを感知し、そのデータを収集します。 |
ネットワーク | モノが通信するために必要なインフラで、Wi-Fi、Thread、Zigbeeなど様々な通信規格が存在します。 |
アプリケーション | モノがセンサーを介して収集した情報を見える化したり、モノが最適な判断を下すためのロジックが組み込まれていたりします。 |
光回線のように、高速なネットワーク網と膨大な容量のストレージデバイスが普及するようになったため、収集した情報はクラウド(サーバー)に蓄積され、分析や特定の処理で活用されるようになりました。
そのため、クラウドが構成要素のひとつとして数えられることもあります。
IoTの仕組み
前述した4つの構成要素をベースに説明すると、以下のような仕組みになります。
- モノのセンサーが、音声・温度・光などを感知します。
- 感知したデータは、インターネットやネットワークを介し、別のモノに連携されます。
- 連携された情報は、モノに実装されているアプリケーションによって加工あるいは特定の処理を施され、画面上に出力されたり、モノ固有の動作が実行されたりします。
- 場合によっては、収集データをクラウド上に蓄積し、ビッグデータの一部として別のアプリケーションやモノに活用されます。
AI×IoTでIoTが進化
近年はAI(Artificial Intelligence:人工知能)技術が発達し、IoTにAIが組み込まれるようにもなりました。
IoTが収集したビッグデータを分析し、従来は人間の経験によって判断されていたことを、AIが判断できるようになってきています。
たとえば、工場で製造された製品の検品作業は人の目視で行われていましたが、正常品と不良品のデータをあらかじめクラウドに蓄積しておくことで、AIを組み込まれたIoTデバイスがセンサーやカメラを駆使しながら不良品を取り除けるシステムが実現しています。
また、OpenAIのチャットボットAI「ChatGPT」が話題になっているように、AIはIoTデバイスの発展に重要な役割を担う可能性を秘めています。
AI技術の進歩とともに、より洗練された自律的デバイスとしてIoTは発展していくでしょう。
IoTの機能
IoTに備わっている基本的な機能としては、以下の4つが挙げられます。
- モノを操作
- モノや人の動きを感知
- モノや人の状態を把握
- モノ同士の通信
この中でも最後のモノ同士の通信はとくに重要です。
複数のモノ同士が互いに連携すれば、人が必要なアクションはほとんどなくなります。
たとえば、スマートスピーカーで話しかけるだけで照明をすべてOFFにできます。
工場であれば、人がチェックしなくても機械が正常に動作しているかどうかを監視しながら、需要に合わせた供給量の製品を生産することが可能です。
IoTで実現できること
IoTが実現できることはさまざまにありますが、特に注目したいポイントについて解説していきます。
生活の利便性が向上する
IoT家電は、生活の利便性を飛躍的に向上させます。
朝になったらカーテンが自動的に開く設定や、スマートスピーカーを通してお風呂を沸かすことも可能です。
人がいるときだけ照明を点けるようにすれば、電気代も節約できます。
今まで何気なく行っていた細かい家事作業を肩代わりしてもらえるので、趣味に没頭したり知識を吸収したりする時間が増え、私たちの生活はより豊かで充実したものになるでしょう。
既成の製品やサービスが生まれ変わる
IoTによって、今まで特定の機能しか持っていなかった製品やサービスが生まれ変わる可能性を秘めています。
わかりやすい例はスマートウォッチではないでしょうか。
従来、時計は時間を知るためのモノでしかありませんでした。
しかし、IoT化したことでメールの受信や電子マネーでのキャッシュレス決済にくわえ、自身の健康を把握するための機能も備わっているなど、今や機能の種類は20を超えるほどです。
スマートカメラも同様で、映像を撮るための機能以外に人やモノを監視し、異常事態があればリモートで知らせてくれるセキュリティ機能が付加されています。
IoTによって、今後も続々と新たな息吹を吹き込まれたモノが登場してくることは間違いありません。
働き方がアップデートされる
IoTを活用すれば、働き方も従来とは違ったものにアップデートできます。
モノを介して社員の位置情報を把握したり、出勤状況や作業状況をチェックできたりするので、「出社するよりもリモートワークが当たり前」という時代がやってくるかもしれません。
また、AI搭載のIoTデバイスを業務で活用すれば、生産性や作業効率が向上し、手を動かす必要のあった作業は大幅な削減を期待できます。
決まりきったルーティーン作業をIoTデバイスに任せられるので、私たちの作業の中心は重要な意思決定や想像力を要する作業へとシフトしていくでしょう。
IoTの課題・懸念点
IoTを活用すればさまざまなことを実現できるメリットがある反面、デメリットもあります。
ここではとくに注意が必要な課題や懸念について解説します。
セキュリティリスクがある
インターネットを利用する時点で、IoTはセキュリティリスクを抱えていることになります。
PCやスマホのように、OSやセキュリティソフトで対策できるIoTデバイスであれば、セキュリティリスクを減らせます。
しかし、より小型のIoTデバイスではセキュリティ機能が少ないケースもあります。
IoTデバイスがウイルスに感染すれば、サイバー攻撃の標的にされ、情報漏洩のきっかけになる可能性も。
IoTデバイスの開発や利用はセキュリティを十分に考慮しなければなりません。
ネットワーク障害に弱い
IoTデバイスは、インターネットを介してモノ同士は通信するので、ネットワークに障害があると、本来持っている機能を十分に発揮できない、あるいはまったく機能しなくなる可能性があります。
また、IoTデバイスでは無線通信を利用するので、電波障害が発生する可能性もあります。
電波障害が発生しにくいIoTデバイスの開発や、ネットワーク障害が起きた場合を想定した仕組みの開発などが必要です。
さまざまな通信規格の存在
IoTデバイスが注目されて以来、さまざまな通信規格が登場しています。
Wi-FiやBLEなどにくわえZ-WaveやZigbeeなど、メーカー固有の通信規格が乱立し、メーカーや通信規格にこだわらないとIoTデバイス同士の相互連携は難しい、という状況を作り出しています。
その問題を解決するために、共通規格Matterが登場したので、IoTデバイスの相互連携はスムーズかつシンプルに行えるようになるかもしれません。
とはいえ、Matter対応製品はまだ少ないので、Matter対応製品が今後普及していくかどうかがカギになります。
IoT製品の普及率とAI時代を見据えた展望
ここでは、IoTデバイスの普及状況にくわえ、AI時代を迎えようとしている今、IoTデバイスはどのような道を歩んでいくのかを見ていきましょう。
IoTデバイス数の推移と予測
IoTデバイスが世界でどれぐらい普及しているかは、総務省が定期的に発表している「情報通信白書」を確認してみましょう。
令和4年版の情報通信白書によると、世界のIoTデバイス数は2017以降右肩上がりに増加中で、2013年は358億台、2024年には398.5億台に昇ることが予測されています。
引用元:令和4年版情報通信白書・データ集「19. 世界のIoTデバイス数の推移及び予測」
世界の人口は80億に達したといわれていますが、その5倍近い数のIoTデバイスが世の中に存在していることになります。
毎年30億台前後のデバイス数が増加していて、とくに産業用途やコンシューマー向け用途での伸び率が高い傾向にあり、自動車・宇宙航空分野でも徐々に伸びてきています。
世の中にインターネット網が整備され、5Gのようなモバイル高速通信の登場が、IoTデバイスの急速な発展を後押ししてきたといえるでしょう。
AIの発達がIoTの普及を加速化する
IoTデバイスの普及率はとどまることを知らないような状況ですが、AI技術の発達により、さらなる変貌を遂げる期待感があります。
AIであれば、インターネット上に蓄積された膨大な量のビッグデータを短時間で分析できるので、人間に近い意思決定をAI自身が行えるようになる未来はすでに見えてきています。
このAIがIoTに実装されれば、IoTは今まで以上に自律的に判断しながら機能を実行できるようになるでしょう。
とくに注目したいのは、自動車分野での活用です。
より進化したAIを搭載するIoTデバイスが組み込まれた自動車であれば、自動運転レベル5の完全運転自動化も夢ではないかもしれません。
※自動運転レベルは国土交通省による定義。
自動運転に限らず、AIとIoTの組み合わせは世の中の仕組みや常識をくつがえし、生活習慣や働き方に大きな変革をもたらすことになるでしょう。
IoTの活用事例
ここでは家庭や企業でのIoT活用事例にくわえ、リンクジャパンの得意分野である不動産での活用事例について、簡単に見ていきましょう。
身近な家庭でのIoT事例
今やIoTデバイスは、さまざまな分野で身近なところに浸透しています。
家庭の中ではスマートホームを担うIoTデバイスが多く活用されています。
また、教育・防災・インフラなど、生活に密着したさまざまな分野にIoTシステムを導入している自治体も増えてきました。
企業でのIoT事例
企業ではDX(デジタルトランスフォーメーション)推進という世の中の風潮もあり、IoTはいたるところで活用されています。
以下はその一例です。
- オフィスのエネルギーコスト削減や環境改善
- オフィスの防犯・セキュリティの強化
- リモートワークのための勤怠管理システム
- 機械の稼働状況の可視化
- 必要なものを必要な時に必要な分だけ生産するライン
業務でPCを利用しないケースは稀になってきているので、インターネットにつながる時点で多くの企業がIoTを利用していることになります。
ただし近年は、業務効率化のためにIoTを利用することは当たり前になっていて、働く環境を改善するためにIoTを積極的に活用する事例が多くなってきています。
不動産でのIoT事例
不動産業界でも、物件の付加価値向上や不動産業界の人材不足を解消するため、さまざまなIoTが活用されるようになってきています。
- スマートロック:鍵交換不要、リモートで解錠・施錠可能
- ワイヤレステレビドアホン:外出先からでも確認できるインターホン
- スマート宅配ボックス:外出先からでも荷物の受け取りが可能
- スマート内覧システム:立会人不要で物件の内覧が可能
スマート内覧システムは、不動産業界の人材不足解消や働き方改善にもつながるIoT導入事例です。
当社リンクジャパンでもスマート内覧システムを提供しているので、気になるかたは是非ご相談ください。
リンクジャパンが提供するIoTサービス
最後に、当社リンクジャパンが提供するIoTサービスを紹介させてください。
さまざまなIoT製品をコントロールする「HomeLink」
HomeLink(ホームリンク)は、「家のOS(基本ソフト)」をコンセプトとして開発した、スマートホーム統合アプリです。
当社リンクジャパン製品のみならず、他社のIoT製品もまとめて管理・操作が可能です。
HomeLinkでできることの一例を、以下に挙げてみました。
- 生活シーンに合わせて複数の機器を一括操作
- ペットや留守番中のお子さんを画面で確認(スマートカメラとの連動)
- 充実した通知機能(家族の外出通知、室温などの異常時の通知、宅配到着の通知など)
- GPSと連動した家電や建具の自動オン・オフ
- QRコードのスキャンのみでIoTデバイスの設定は不要に(QR-Link技術)
さらにくわしい情報は、リンクジャパン公式サイトにてご確認ください。
AI×IoTで物件をアップデートする「eLife」
「物件に新たな付加価値をあたえ、他物件との差別化をはかりたい」といったご要望にお応えできるのがeLife(イーライフ)です。
新たなスマートホームサービスeLifeの特徴を、以下にまとめてみました。
- IoTデバイスを駆使した最先端の物件として、新たなブランディングが可能
- 賃貸の入居率最大60%アップ、売買成約率と単価もアップ
- フルセットで導入しても10万円台前半
- お客様のニーズに合わせたカスタマイズが可能
- スマート内覧システムを実現可能
よりくわしい情報をお求めのかたは、公式サイトから資料をご請求いただくか、リンクジャパンへご相談ください。
AI×IoTで住宅エネルギーを制御する「eNe」
eNe(エネ)は、AIとIoTを駆使してさまざまなエネルギー機器をリンクし、エネルギーを制御するプラットフォームです。
住宅エネルギーのさまざまな課題を解決するため、eNeでは以下を実現しています。
- 最適制御:HomeLinkクラウドが、さまざまなエネルギー機器のパフォーマンスを最大限に発揮
- 一括制御:HomeLinkクラウドが電力事業者と連携することで、複数の住宅など分散されたエネルギーリソースを一括制御可能
- 一括供給:エネルギーコストを抑えることはもちろん、エネルギー機器間のシームレスな連携を実現
住宅エネルギーに関する課題でお悩みのかたは、より詳細な情報を公式サイトでご覧いただくか、リンクジャパンへご相談ください。
まとめ
本記事では、IoTの定義やその歴史について解説したうえで、仕組みから活用事例まで幅広く触れてみました。
AI時代に入りつつある今日では、AI×IoTによって提供されるサービスやシステムが、私たちの生活スタイルや仕事のやり方に大きな変化を与えるでしょう。
当社リンクジャパンは、まさにそのAI×IoTで住宅のすべてをリンクするプラットフォームを提供している企業です。
HomeLinkを起点とし、AI×IoTを駆使したさまざまなIoTデバイスやサービスを提供しています。
AI×IoTの活用でお悩みなら、リンクジャパンにぜひご相談ください。