介護付きマンションとは?注目される背景から現状まで詳しく解説

介護付きマンションとは?注目される背景から現状まで詳しく解説 TIPS

高齢者と呼ばれる年齢にさしかかってくると自宅が少しずつ使いにくくなってくるため、住み替えを考えているが、将来のことも考えると介護付きマンションという選択肢もあるので迷っている人はいませんか?

この記事では、介護付きマンションが注目される背景から現状まで詳しく解説します。

介護付きマンションとは?

介護付きマンションの1つであるサービス付き高齢者向け住宅

介護付きマンションとは高齢者にとって住みやすい環境やサービスが整えられたマンションのことを指し、次の2種類があります。

種類 サービス付き高齢者向け住宅 シニア向け分譲マンション
対象者 60才以上の高齢者 物件により異なる
契約方式 賃貸借契約または利用権方式 所有権方式
目的 高齢者の居住の安定の確保と福祉の増進 富裕層の高齢者が居住すること
サービス 必須
見守りサービス(安否確認サービスと生活相談サービス)
推奨
生活支援サービス(介護保険サービスを除く)
物件により異なる

サービス付き高齢者向け住宅は「高齢者住まい法」に基づいて作られ運営されますが、

シニア向け分譲マンションは民間事業者が販売・運営するという違いがあります。

またどちらも「介護付きマンション」と呼ばれているにもかかわらず、サービスには介護保険サービスが含まれないことを覚えておきましょう。

参考:e-GOV法令検索「高齢者の居住の安定確保に関する法律」

介護付きマンションが注目される背景

自宅でくつろぐ高齢者

2022年に2月22日に行われた、サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会資料の「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」によると、高齢者の97%が自宅で生活し、要介護の高齢者も85%が自宅で生活しているとわかりました。

このことから、介護付きマンションが注目されるのは高齢者の年齢を重ねても自宅で生活したい、住み慣れた地域で日常生活を送りたいというニーズに対応できる住宅であるためだとわかります。

参考:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会について」

介護付きマンションの現状

シニア向け分譲マンション

介護付きマンションの現状とは、どのようなものなのでしょうか。

サービス付き高齢者向け住宅とシニア向け分譲マンションについてそれぞれ紹介します。

サービス付き高齢者向け住宅の現状

サービス付き高齢者向け住宅の登録制度の概要についてご紹介します。

項目 分類 概要
登録基準 ハード ・各専用部分の面積は原則25㎡以上(居間、食堂、台所などの共有部分が、高齢者が共同で利用するための十分な面積がある場合は18㎡以上)
・各専用部分には台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室がある
・バリアフリー構造である
サービス ・安否確認サービス
・生活相談サービス
(ケアの専門家である社会福祉法人・医療法人・指定居宅サービス事業所等の職員、医師、看護師、介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、介護職員初任者研修課程修了者が対応)
契約内容 ・書面で契約し専用部分は明示する
・賃貸借形式、利用権方式のいずれも事業者からの一方的な解約はできない
・事業者が受領できるのは敷金、家賃、サービスの対価のみ
・家賃・サービスの前払金を受領するには規定の条件を満たす必要がある
・工事完了前に前払金を受領することはできない
入居者要件 60才以上の人か、要介護認定で要支援、要介護と認定された人
登録状況 戸数:272,870戸
棟数:8,017棟
(2021年12月末時点)

サービス付き高齢者向け住宅は介護施設ではありませんが、登録の基準が介護施設の設備基準や人員配置基準と同様に細かく定められているのが特徴的だと言えるでしょう。

登録制度の内容を踏まえて、サービス付き高齢者向け住宅の現状を住戸面積、入居者の年齢、入居費用の3つの観点からご紹介します。

サービス付き高齢者向け住宅の住戸面積

「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」によると、サービス付き高齢者向け住宅の住戸面積は平均21.9㎡ということがわかりました。

2022年に国土交通省が公表した「住宅経済関連データ」によると、2018年における公営借家の平均延床面積は51.48㎡だったため、比較するとサービス付き高齢者向け住宅は狭めなのが現状だと言えるでしょう。

参考:国土交通省「住宅経済関連データ」

サービス付き高齢者向け住宅の入居者の年齢

サービス付き高齢者向け住宅入居者の年齢構成を表したグラフ

画像出典:国土交通省「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」

「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」によると、サービス付き高齢者向け住宅に住む人の年齢は平均84.2才で、75才以上の後期高齢者が90.7%を占めることがわかりました。

サービス付き高齢者向け住宅に住むのは基本的に介護サービスを必要としない高齢者なので、前期高齢者が多いとイメージする人も多いかもしれませんが、そうではないのが意外な結果と言えるでしょう。

サービス付き高齢者向け住宅の入居費用

サービス付き高齢者向け住宅の月額入居費用を表したグラフ

画像出典:国土交通省「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」

「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」によると、サービス付き高齢者向け住宅における家賃、共益費、必須サービス費用を合計した月額入居費用は全国平均で10.8万円でした。

しかし、グラフを見ると月額入居費用は6万円以下から30万円以上までかなりのばらつきがあるため、入居者の支払える金額に応じて選ぶことができます

参考:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会について」

シニア向け分譲マンションの現状

シニア向け分譲マンションの現状について、供給動向、価格、専有面積の3つの観点からご紹介します。

シニア向け分譲マンションの供給動向

2022年7月28日に東京カンテイが発表した「シニア向け分譲マンションの供給動向分析」というプレスリリースによると、シニア向け分譲マンションの供給動向には年代によって次のような変化があったことがわかりました。

年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代 2020年
以降
合計
物件数
(件)
9 10 6 24 32 17 98
戸数
(戸)
1,361 1,891 946 3,683 4,439 2,627 14,947

物件数、戸数とも2000年代に急激に増加しているのが特徴的です。

増加した要因はいろいろと考えられますが、介護保険制度が始まったのが2000年4月なので老後の暮らし方に人々の関心が集まりやすかったというのが背景にあるでしょう。

また2010年代の10年で積み上げた4,439戸の半数である2,200戸を、2020年代ではもう追い越しているため、これからもシニア向け分譲マンションはハイペースで供給されることが予想されます。

シニア向け分譲マンションの価格

「シニア向け分譲マンションの供給動向分析」によると、シニア向け分譲マンションの平均価格と坪単価は年代によって次のように変動したことがわかりました。

年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代 2020年
以降
平均価格
(万円)
932 2,930 5,879 3,610 3,396 4,386
坪単価
(万円)
86.9 200.3 286.3 199.9 200.5 240.4

バブル時代を含む1990年代には平均価格と坪単価が大きく値上がりしたものの、その後値下がりをしていたのですが、2020年代になって再び平均価格と坪単価が上昇傾向にあります。

急激な高齢化でシニア向け分譲マンションへのニーズは高まっているものの、前の項目でもご紹介した通り供給が追い付いていないため価格が上がっていると考えられます。

シニア向け分譲マンションの専有面積

「シニア向け分譲マンションの供給動向分析」によると、シニア向け分譲マンションの専有面積は年代により次のように変化したことがわかりました。

年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代 2020年
以降
専有面積
(㎡)
35.76 48.09 66.14 59.11 56.34 60.08

専有面積は 1970年代から1990年代までは右肩上がりだったものの、2000年以降は少し下がり、その後は大きく変化していません。

近年は「終活」という言葉がよく聞かれるようになり、老後はあまり物を増やさずシンプルな生活をするというのがスタンダードになりつつあります。

そのため広い専有面積を必要としない人が増えているのではないでしょうか。

参考:株式会社東京カンテイ「Kantei eye 112 (価格上昇期における「値上がりマンション」に関する考察ほか)」

テクノロジーを導入した介護付きマンションとは?

リンクジャパンでは、サービス付き高齢者向け住宅とシニア向け分譲マンションの両方に、AIとIoT技術を活用して高齢者の見守りや安否確認が行える「eMamo」を提供しています。

例えばシーラが提供するシニア向け分譲マンションの「シニアテックマンション」では合計19室にeMamoが設置され、緊急時にすぐに家族が駆け付けられる環境を実現しました。

具体的には、スマートナースコールの「eBell」が設置されているため、家族が離れて暮らしていてもワンタッチで通話ができます。また、常に快適な室温を保つことができる室温管理システムも導入しているため、ヒートショックなどの予防にも効果的です。

テクノロジーを導入した介護付きマンションに興味のある方は、次の記事もごらんください。

【予想以上の反響】「決め手は技術力とアフターサービス」シーラのeMamo導入事例 – (公式)LinkJapan リンクジャパン

まとめ

介護付きマンションとは高齢者にとって住みやすい環境やサービスが整えられたマンションのことを指し、サービス付き高齢者向け住宅とシニア向け分譲マンションの2種類があります。

どちらも高齢者の年齢を重ねても自宅で生活したい、住み慣れた地域で日常生活を送りたいというニーズに対応できる住宅なので、自分の理想とする住まい方をイメージした上で住み替えを検討してみてくださいね。