最近配偶者を亡くした親が1人暮らしを始めたけれど、近くに住んでいるわけではないため今後どのようにサポートをしていったらよいかわからず困っている人はいませんか?
この記事では、そんな人に知ってほしい独居老人問題とその対策について詳しく解説します。
独居老人とは?
独居老人とは一人暮らしをしている高齢者のことを指します。
独居老人には次のような特徴があります。
- 退職をしている
- 地域社会との接点がない
- 何のコミュニティにも属していない
退職後会社内で築き上げた人間関係のつながりが徐々に途切れていき、孤独を抱えながら1人暮らしをしている高齢者の姿が浮かび上がってきます。
高齢者における一人暮らし世帯の割合
画像出典元:内閣府「令和4年版 高齢社会白書 3家族と世帯」
2022年に内閣府が発表した「令和4年版 高齢社会白書」で65才以上の高齢者がいる世帯数と世帯構造について調べた所、上記の結果が出ました。
高齢者の単独世帯は1980年に10.7%だったのが2019年には28.8%と30年で約3倍にまで増加しているため、独居老人問題に目を向け何らかの対策をする必要があるとわかります。
参考:内閣府「令和4年版 高齢社会白書(全体版)(PDF版)」
地域社会やコミュニティとの接点
2014年に内閣府が全国の65才以上の一人暮らしの男女1,480人を対象に行った「一人暮らし高齢者に関する意識調査」において、グループ活動への参加についてたずねたところ、独居老人の46.6%がグループ活動に現在参加しておらず、59.3%の人が将来的にも参加の意向がないことがわかりました。
そのためこれらの人たちを地域社会やコミュニティにどのように結び付けていくかが独居老人問題を解決する鍵となるでしょう。
参考:内閣府「平成26年度一人暮らし高齢者に関する意識調査結果」
日常生活で不安なこと
前の項目でご紹介した意識調査において日常生活で不安なことについてたずねた所、健康や病気、介護に関する不安が多くを占めていることがわかりました。
この部分を手厚くサポートすると独居老人が抱える課題を解決することにつながるでしょう。
参考:内閣府「平成26年度一人暮らし高齢者に関する意識調査結果」
高齢者が一人暮らしをするメリット
「一人暮らし高齢者に関する意識調査」で今後誰かと暮らしたいかをたずねてみた所、次のような結果が出ました。
回答 | 割合 |
今のまま一人暮らしでよい | 76.3% |
子 | 13.4% |
異性の友人 | 2.4% |
配偶者 | 1.7% |
兄弟姉妹 | 1.1% |
それ以外の家族・親族 | 0.5% |
子の配偶者 | 0.3% |
同性の友人 | 0.3% |
その他 | 0.3% |
わからない | 3.7% |
「今のまま一人暮らしでよい」という人が75%を超え、今後誰かと暮らしたい人と比較すると多数派であることがわかったのです。
もし高齢者の一人暮らしに問題点やデメリットの方が多ければ、このような結果にはならないでしょう。
独居老人問題を考える上で見逃しがちな、高齢者が一人暮らしをするメリットを3つご紹介します。
参考:内閣府「平成26年度一人暮らし高齢者に関する意識調査結果」
幸福度が高い
画像出典元:内閣府「平成26年度一人暮らし高齢者に関する意識調査結果 幸福感、不安に関する事項」図1を元に作成
一人暮らし高齢者に関する意識調査で現在どの程度幸せかを「とても幸せ」を10点、「とても不幸」を0点としてたずねた所、上記のような結果でした。
平均値が5点より高く人数分布も5点以上に偏っており、比較的幸福度は高いと言えるでしょう。
このことから、高齢者の一人暮らしは問題点が多く不幸であるという見方は一方的であり、高齢者本人は意外と幸せを感じて一人暮らしを選んでいることがわかります。
参考:内閣府「平成26年度一人暮らし高齢者に関する意識調査結果」
健康や経済状況で同居している人とあまり差がない
一般社団法人厚生労働統計協会が発行する『厚生の指標』に掲載された「独居高齢者と非独居高齢者の特徴に関する大規模調査」では、独居老人の方が家族と同居している人よりも若干運動機能が低下しやすい一方、健康状態や経済状況では大きな違いがあるとまでは言えないことがわかりました。
このことから、一人暮らしを高齢者本人が望んでしているなら、周囲の人が健康状態や経済状況を過度に気に掛け同居を進める必要はないと言えるでしょう。
参考:厚生の指標第61巻第11号「独居高齢者と非独居高齢者の特徴に関する大規模調査」
自由に生活できる
高齢者が一人暮らしをすると、自分のペースで自由な生活をすることができます。
家族で生活をするとどうしても家族の用事やペースに巻き込まれがちですが、一人暮らしなら自分の意向でライフスタイルを決められるためのびのびとした気持ちで日々を過ごせるでしょう。
独居老人問題とその対策
メリットもある一方で、高齢者を親に持つ人にとっては不安も多いのではないでしょうか。
高齢者の一人暮らしにはどのような問題が潜んでいるかを整理し、対策を考えておくことが大切です。
独居老人の現状や一人暮らしのメリットも理解した上で対策を施すアイディアを3つご紹介します。
孤独死につながる
前の項目で高齢者の単独世帯は2019年には28.8%の割合を占めるとご紹介しました。
高齢者の一人暮らしは孤独死の対象となりうるため、単独世帯が増えるほど孤独死のリスクは高まります。また、孤独死をした人の67%は病気で亡くなっています。
もし病気の兆候を事前に周囲の人が察知したり、事故を起こしても早めに現場に救急車を呼んだりできれば、孤独死を防げた可能性があります。
このようなニーズに応えることのできるツールとして、株式会社リンクジャパンの法人向け製品のスマートナースコール「eBell」があります。
「eBell」はWiFi環境があれば配線などの工事をせずに使用することができ、ナースコールをするだけではなくビデオ通話で介護スタッフや家族と手軽につながることができるのです。
現在は法人向けに販売しているため、介護施設やシニア向けマンションを選ぶ際に「eBell」が導入されているかで選ばれるのもおすすめです。
詳細については、次のページもごらんください。
LinkJapanスマートナースコールeBell – (公式)LinkJapan リンクジャパン
参考:内閣府「令和4年版 高齢社会白書(全体版)(PDF版)」
参考:日本少額短期保険協会「第7回孤独死現状レポート」
運動機能が低下しやすい
前の項目で、一人暮らしの高齢者と家族と同居している高齢者を比較すると独居老人の方が運動機能が低下しやすいとご紹介しましたが、これを予防できるのが介護予防サービスです。
介護予防サービスとは介護予防を目的として行われる介護保険サービスの中の1つで、次の12種類があります。
サービスの項目 | 概要 |
介護予防訪問入浴介護 | ・持参した浴槽で期間を限定して行われる入浴サービス |
介護予防訪問看護 | ・看護師などが利用者の自宅を訪問して行われる療養上のサービスや診療の補助 |
介護予防訪問リハビリテーション | ・利用者の自宅を訪問し期間を限定して行われるリハビリテーション |
介護予防居宅療養管理指導 | ・医師、歯科医師、薬剤師などによって行われる療養上の管理や指導 |
介護予防通所リハビリテーション | ・老健、病院、診療所などで行われる理学療法、作業療法、リハビリテーション |
介護予防短期入所生活介護 | ・特別養護老人ホームなどで短期間生活して行われる介護や日常生活の援助 |
介護予防短期入所療養介護 | ・老健などで短期間生活して行われる看護、医学的な管理の必要な介護、機能訓練、日常生活の援助 |
介護予防特定施設入居者生活介護 | ・特定施設に入居して行われる介護、日常生活の援助、機能訓練 |
介護予防福祉用具貸与 | ・介護予防に効果があると厚生労働大臣が定めた福祉用具をレンタルできるサービス |
特定介護予防福祉用具販売 | ・介護予防に効果があり、入浴や排泄などレンタルになじまない福祉用具を販売してもらえるサービス |
地域密着型介護予防サービス | ・サービスを提供する事業者のある市町村に住む人だけが利用できる介護予防サービス |
介護予防支援 | ・介護予防サービスを適切に利用できるようサービスの利用計画を立案し、計画に基づいた利用ができるよう事業所と連絡や調整をする |
介護予防サービスは要介護認定を受けることで利用できるので、もし一人暮らしで運動不足に陥っている様子なら利用を勧めてみるのもよいでしょう。
参考:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索 介護保険の解説―サービス編―」
犯罪に巻き込まれやすい
独居老人は家族と同居している人と比較すると、犯罪に巻き込まれやすくなると言えるでしょう。
「一人暮らし高齢者に関する意識調査」で振り込め詐欺にあわないようにするためどのような対策をしているかをたずねた所、次のような結果でした。
対策方法 | 割合 |
日頃から家族との連絡を頻繁に取る | 28.5% |
詐欺の手口について知っておく | 22.4% |
友人や知人の連絡先を把握しておく | 14.8% |
不審に思った際の相談先を決めておく | 12.2% |
特に行っていることはない | 42.2% |
特に何も対策をしていない人が40%を超えており、振り込め詐欺に対して無防備な人が多い現状が垣間見えます。
詐欺の最新の手口について情報提供をするのはもちろんですが、不審な電話があったらいったん相談や連絡をしてもらうように日頃から促しておくことが大切です。
参考:内閣府「平成26年度一人暮らし高齢者に関する意識調査結果」
まとめ
独居老人は自由な生活を楽しんでいるという現状もあるので、一概に不幸だと決めつける必要はありませんが、いざという時や困りごとがあった時などに随時サポートできる体制を整えておくのが望ましいでしょう。
この記事も参考にして、ぜひ高齢者が一人暮らしを楽しめるよう工夫を凝らしてみてください。