ナースコールシステムとは?種類からおすすめのシステムまで詳しく解説

ナースコール 解説 TIPS

経営している介護施設のナースコールシステムが古くなってきたので新しいシステムの導入を考えているけれど、利用者さまが入居しながらの工事では危険も伴うためどうすればよいかわからないと困っている人はいませんか?

この記事では近年開発が進んでいる新しいナースコールシステムの種類から、おすすめのシステムまで詳しくご紹介します。

ナースコールシステムとは?

ナースコールシステムの呼び出しボタン

ナースコールシステムとは病院、介護施設、また自宅などで患者が看護師、介護士、家族などのケアを行う人と連絡を取るための呼び出し装置ですが、一般社団法人インターホン工業会ではナースコールシステムを次のように定義づけています。

項目 概要
使用者 ・医療や介護を必要とする人

・医療や介護を提供する人

使用目的 ・医療や介護を必要とする人と医療や介護を提供する人との間、または医療や介護を提供する人同士での呼出・意思疎通の支援

・医療や介護を提供する人への医療機器以外の装置との連動による呼出通知

 

現在のナースコールシステムの由来となる「弁つき呼鈴」を開発したのは近代看護教育の母と呼ばれるフローレンス・ナイチンゲールで、外の廊下で呼鈴が鳴るとどの患者が呼んでいるのかがわかる仕組みでした。

現在のナースコールシステムは、次のような使い方をすることが多いでしょう。

  • ケアの必要な人がボタンを押す
  • ナースステーションや介護士の詰所、家族のいる部屋などに設置された親機、またはケアをする人たちが持っている子機にコールが入る
  • ケアの必要な人がいる居室の表示灯が点灯する
  • 親機または子機を通じてケアをする人がケアの必要な人とコミュニケーションを図る
  • 対応終了後にケアをする人が復帰ボタンを押して表示灯を解除する

看護師や介護士はケアの必要な人に、事前にナースコールシステムの使い方について、どのような場面で使い、どう操作すればよいかを具体的に説明をする必要があることを覚えておきましょう。

参考:一般社団法人インターホン工業会「ナースコールについて」

ナースコールシステムの設置基準

壁にかけられたナースコールシステムの操作ボタン

ナースコールシステムの設置基準は、病院や介護施設に対してどのように法律で決められているのでしょうか。

医療法では病院に対しナースコールシステムの設置を義務付けていませんが、介護施設にはナースコールシステムの設置基準が次のように定められています。

施設の種類 設置基準 根拠
特別養護老人ホーム ・居室とトイレにブザーまたはこれに代わる設備を設ける 「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」第11条
介護老人保健施設 ・療養室にはナースコールを設ける

・トイレにはブザーまたはこれに代わる設備を設ける

「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」第3条
有料老人ホーム ・緊急通報装置を設置するなどして入居者の急病など緊急時の対応を図る 厚生労働省 「有料老人ホームの設備運営標準指導指針について」5 規模および構造設備
指定介護老人福祉施設 ・居室にはブザーまたはこれに代わる設備を設ける

・トイレにはブザーまたはこれに代わる設備を設ける

「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」第3条
軽費老人ホーム ・居室には緊急連絡のためのブザーまたはこれに代わる設備を設ける 「軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準」第36条

 

介護施設ではナースコールシステムの設置基準を守り、要介護者の安全を守ることが大切です。

参考:e-GOV法令検索「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」

参考:e-GOV法令検索「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」

参考:厚生労働省「有料老人ホームの設備運営標準指導指針について」

参考:e-GOV法令検索「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」

参考:e-GOV法令検索「軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準」

ナースコールシステムの市場が拡大する背景

海外のナースコールシステムの操作ボタン

2022年にアメリカの市場調査会社Report Oceanが発表した新しいレポートによると、ナースコールシステムの市場は2022年から2030年までに年平均成長率が8.40%となると予想されています。

市場の成長には次のようなことが影響していると考えられています。

  • 高齢者の増加
  • ワイヤレス技術の発展
  • 医療費の増加とより良い医療施設や介護施設への需要
  • ナースコールシステムデバイスの新製品発売や改良
  • 新型コロナウイルスの感染拡大

また2021年のナースコールシステム市場では北アメリカの市場シェアが最も大きいですが、最も速い速度で成長するのがアジア太平洋地域だと予想されているのです。

これらのことを踏まえて、日本におけるナースコールシステムの市場が拡大する背景について3つご紹介します。

参考:Report Ocean「ナースコールシステムの市場規模、シェア、動向分析」

日本の高齢化が加速しているため

ナースコールシステム市場に影響を及ぼす要素のうち、日本においては高齢化が世界一の速さで進み、医療費も増加しています。

2022年に内閣府が発表した「令和4年版高齢社会白書」の内容を基に海外の主な国と日本の2020年における高齢化率を表にまとめてみました。

日本 アメリカ合衆国 韓国 中国 インド
高齢化率 28.6% 16.6% 15.8% 12.0% 6.6%

 

また厚生労働省が2020年に発表した「令和2年度国民医療費の概況」を基にまとめた医療費の年次推移は次の通りです。

1954年 1985年 2000年 2019年 2020年
国民医療費 2,152億円 16兆159億円 30兆1,418億円 44兆3,895億円 42兆9,665億円

 

これらのことから、ナースコールシステムの日本における市場拡大も速いことが予想できるでしょう。

参考:内閣府「令和4年版高齢社会白書」

参考:厚生労働省「令和2(2020)年度国民医療費の概況」

高齢者のICT活用が進んでいるため

2020年をターゲットとして、総務省は超高齢化社会に対応するためのICTのあり方について検討する「ICT超高齢社会構想会議」を開催して、「医療・介護・健康」「生活支援・コミュニケーション」「就労・社会参加」の3つの分野においてICTの活用を推進しています。

一方2021年に総務省が発表した「令和3年版 情報通信白書」によると、高齢者におけるスマートフォンやタブレット端末の利用状況について、次のような結果が出ました。

年齢 よく利用している ときどき利用している
60才~69才 55.5% 17.9%
70才以上 24.3% 16.5%

 

年齢を重ねるほど利用している人の割合は減るものの、60才~69才では半数以上の人はスマートフォンやタブレット端末を利用しているため、ICTの活用に積極的な高齢者は今後も増えることが予想されます。

これらのことから、今後病院や介護施設においてスマートフォンやタブレット端末を利用したナースコールシステムを導入しても、高齢者が抵抗なく利用できる可能性が高いでしょう。

参考:総務省「ICT超高齢社会構想会議」

参考:総務省「令和3年版 情報通信白書」

ケアワーカーの人材不足

2021年に厚生労働省が発表した「令和3年版厚生労働白書」で看護職員の不足感について2765の医療機関を対象にアンケート調査を行った所、不足感があったと回答した医療機関は34.2%でした。

一方2021年に公益財団法人介護労働安定センターが行った「介護労働実態調査」の結果によると、従業員の過不足状況について不足感を持っている事業所は63.0%だったのです。

これらの結果からケアワーカーの人材不足に対応できる機器として、ナースコールシステムのデバイスの新製品発売や改良、またワイヤレス技術の発展が待たれているのは間違いないでしょう。

参考:厚生労働省「令和3年版 厚生労働白書 図表1-2-5-16 看護職員の不足感」

参考:公益財団法人 介護労働安定センター「介護労働実態調査」

ナースコールシステムの種類

ナースコールシステムの親機

一般社団法人インターホン工業会では、ナースコールシステムの種類は次のように定義づけられています。

項目 概要
基本形ナースコールシステム ・親機、廊下灯、子機などによって構成されるナースコールシステム
携帯形ナースコールシステム ・基本形ナースコールシステムとナースコール用コードレス電話システムによって構成されるナースコールシステムで、ハンディナースコールシステムとも呼ばれる
情報表示系ナースコールシステム ・携帯形ナースコールシステムに、汎用コンピューティングプラットフォームを用いて患者や利用者の情報を処理し蓄積する情報蓄積装置と、呼出などの時に、患者や利用者の情報などを処理し表示する情報表示形親機などを加えたナースコールシステム

 

表の上から下に行くにしたがってシステムの構成が複雑になり、できることも増えているのがわかります。

参考:一般社団法人インターホン工業会 ナースコール委員会「ナースコールシステムの安全を含む一般要求事項及び試験方法 Ver1.0」

おすすめのナースコールシステム

ナースコールを受けるナースステーションの外観

情報表示系ナースコールシステムとしておすすめなのが、株式会社リンクジャパンの「eBell」です。

設置工事不要でWiFi環境さえあれば利用を開始できる手軽さと、専用端末を必要とせず家族のスマホを使ってビデオ通話ができることから病院、介護施設、シニア向けマンションなど利用シーンが次々と増えてきています。

緊急時対応や安全確保だけではなく、少なからず心細い思いを抱えている患者さんやご利用者の方に家族の暖かさを伝えることのできるナースコールシステムをお探しなら、ぜひ株式会社リンクジャパンにお声がけください。

LinkJapaneBell | LinkJapan リンクジャパン

まとめ

トイレに設置してあるナースコールシステムの呼び出しボタン

ナースコールシステムとは病院、介護施設、また自宅などで患者が看護師、介護士、家族などのケアを行う人と連絡を取るための呼び出し装置ですが、日本では今後高齢化や医療費の増加、技術の発展などを背景として、さらに高機能なナースコールシステムへのニーズが高まるでしょう。

この記事も参考にして、ぜひ自分の施設に合ったナースコールシステムを採用してみてください。