高齢者の熱中症とは?対策から予防法まで詳しくご紹介

高齢者の熱中症とは?対策から予防法まで詳しくご紹介 TIPS

親がそろそろ高齢者と呼ばれる世代にさしかかってきているため、夏になるたびに熱中症にかからないか心配している人はいませんか?

この記事では高齢者向けの熱中症対策から予防法まで詳しくご紹介します。

熱中症のメカニズム

高齢者の男性が熱中症になりかけているイメージ

高齢者の熱中症を予防するために、まず知っておきたいのは熱中症のメカニズムです。

人間が身体を動かすと体内で熱が作られて体温が上がりますが、通常時は汗をかくことや、身体の表面から空気中に熱を逃がすことで体温が上がり過ぎないように調節をしています。

しかし、気温や湿度が高い状態で身体を動かし続けると汗をかけなくなり、血液の循環が悪くなると身体の表面から空気中に熱を逃がせなくなるため、体温が上昇します。

脳を含む重要な内臓は37度以下でうまく働き、体温が上がり過ぎると機能しにくくなるという性質があり、血液の循環が悪くなると内臓に血液が行き渡らなくなるため、体調が悪化してしまいます。

この状態が熱中症です。

熱中症の人に高齢者が多い理由

高齢者の女性が熱中症で頭痛になっている

高齢者が熱中症にかかりやすいのは、温度に対する感覚が弱くなるからだと言われています。

具体的には次のようなことが起こります。

  • 気温が高いのに暑いと感じにくくなるため、エアコンをつけずに過ごしてしまう
  • のどが渇いているのを感じにくくなるため、水分補給をしないで過ごしてしまう

老化が進むと汗をかいたり、身体の表面から空気中に熱を逃がしたりする働きが鈍くなるため、エアコンや水分補給なしの生活では、すぐに体温が上昇し熱中症を引き起こしてしまうのです。

高齢者の熱中症対策

高齢者が熱中症予防をした方がよい気温のイメージ

高齢者のために夏の暑い時期にできる熱中症対策には、どのようなことがあるのでしょうか。

3つご紹介します。

自分自身と周囲にいる人が注意する

前の項目でもご紹介した通り、高齢者は温度に対する感覚が弱くなっています。

そのため暑い時期には高齢者自身と周囲にいる人が協力して熱中症対策をするのが大切です。

おすすめの具体的な対策は次の通りです。

項目 概要 メリット
気温を計る ・温度計や湿度計を準備し、気温や湿度を計るのを習慣にする

・周囲の人は高齢者が温度や湿度を計っているかを確認する

・温度や湿度の数値を高齢者と周囲の人が客観的に見て判断できるので、適切なタイミングで対策できる
室内を涼しくする ・日差しのない室内でも高温多湿で無風の環境は熱中症になる可能性が高くなるため、エアコン、除湿器、扇風機、緑のカーテンなどを用いて室内を涼しくする

・周囲の人は高齢者が適切に機器を使っているかを確認する

・室内は人が過ごしやすい温度と湿度になるので体温が上がり過ぎない
水分補給 ・高齢者は体内の水分量の減少で脱水状態になりやすく、また脱水を感知しにくいため、定期的な水分補給を行う

・周囲の人は高齢者が水分補給をしているか確認し、できていなければ声がけをする

・適切なタイミングで水分補給ができるので体温が上がり過ぎない
入浴や睡眠時の水分補給 ・入浴前や入浴後は水分補給を行い、睡眠時はペットボトルを枕元に置いて寝る

・周囲の人は高齢者が水分補給をしているか確認し、できていなければ声がけをする

・入浴中や睡眠時に汗などで失われる水分を補給できる
外出時の対策 ・帽子をかぶる、日傘を持つなどして直射日光を避け涼しい服装で外出する

・水筒やペットボトルを持ち水分補給ができるようにする

・疲れたら休憩する

・周囲の人は高齢者の服装や持ち物を確認し適度に休憩を取ってもらう

・体温の上がり過ぎと過度に身体を動かし続けるのを防ぐ
我慢させない ・高齢者は体調不良になったら周囲の人に助けを求める

・周囲の人は高齢者が体調が良くないのをがまんしていないか注意して見守る

・早めに応急処置をして悪化を防ぐ

対策を施しても熱中症になってしまった場合、応急処置が必要です。応急処置で大切なポイントは次の3つです。

  • 涼しい場所に移動して体温を下げる
  • 衣服を緩めて熱を放出し、うちわや扇子があれば風を送って体温を下げる
  • 塩分と水分を補給してもらう

意識がない、水分を自力で摂取できない、安静にしても症状が良くならないといった場合は救急車を呼ぶか、判断に迷った場合は救急安心センター事業の#7119に電話をし、医療関係者の指示を仰ぎましょう。

参考:一般財団法人日本気象協会 熱中症ゼロへ「熱中症、こんな人は特に注意!『高齢者』」

参考:総務省消防庁「救急車の適時・適切な利用(適時利用)」

地域で高齢者の熱中症対策に取り組む

厚生労働省社会・援護局地域福祉課で415の地方自治体について高齢者や障がい者への熱中症対策への取り組みについてたずねた所、事例がおおむね次の4種類に分類できるとわかりました。

項目 概要
訪問による熱中症への注意喚起 ・民生委員、児童委員、ケアマネージャー、ホームヘルパー、配食サービス事業者などが厚生労働省や環境省が作成した熱中症予防のリーフレットを配布する

・幼稚園や保育園で保健指導を実施する

広報やイベントによる熱中症への注意喚起 ・広報誌で熱中症の予防方法を発信

・ケーブルテレビ、ラジオ、メール、SNS、防災無線、公用車からの放送による発信

熱中症予防のための物品配布 ・冷却ジェル、うちわ、熱中症予防シートの配布
避難場所の設置 ・公共施設、商工会加盟のコンビニエンスストア、金融機関などを避難場所としてのぼりやステッカーなどで周知する

緊急の避難場所の設置や熱中症の危険度が高い日の発信などは、各家庭だけではできない対策なので、このような取り組みを続けるのは地域全体で高齢者の熱中症対策への意識を高めるためにも有効だと言えるでしょう。

参考:厚生労働省「地域の高齢者等に対する熱中症対策の事例について」

熱中症による救急搬送は高齢者が多いのを知ってもらう

総務省消防庁のホームページでは、全国の熱中症による救急搬送の状況を週報として発信しています。

例えば2023年8月14日~8月20日の間に熱中症で救急搬送された人は全国で7,360人でしたが、このうち高齢者は3,546人と48.2%を占めたのです。

全国の熱中症での救急搬送はほぼ半数が高齢者だという事実を高齢者本人や周囲の人が知っておくだけでも、熱中症対策への意識は高まるのではないでしょうか。

参考:総務省消防庁「熱中症情報 救急搬送状況」

高齢者の熱中症を予防するには

熱中症予防のため水分補給をする高齢者の男性

高齢者が夏の暑い季節だけではなく、普段から熱中症にならないように心がけられる予防方法を3つご紹介します。

暑さに負けない身体づくりをする

高齢者の人が熱中症にかかりにくくするためには、暑さに負けない身体づくりを心がけるのが大切だと言えるでしょう。

具体的な方法は次の4つです。

項目 概要
水分補給をこまめに行う ・のどがかわいていなくても水分補給を定期的に行うよう習慣づける
塩分を補給する ・食事(漬物、お味噌汁、スープなど)から塩分をほどよく補給しておく
睡眠時の環境を整える ・通気性や吸水性の良い寝具、接触冷感などで心地よい寝具などを準備して暑さ対策をする

・エアコンや扇風機、除湿器を活用する

丈夫な身体を作る ・バランスの良い食生活を送る

・適度な運動を心がける

 かかりつけの医師から塩分制限を受けている場合は、熱中症予防のための塩分補給をどのようにすればよいかを一度相談してみることをおすすめします。

暑さを和らげる工夫をする

暑さは家の環境を整え、少し工夫を凝らすことで和らげられるので、次のようなことを心がけてみましょう。

項目 概要
温度と湿度を計る ・客観的に今の暑さを数値で把握するのを習慣化する
室内を涼しくする ・エアコンを自動運転にして適切な温度や湿度を維持できるようにする

・過度な節電をしない

衣服を涼しいものにする ・接触冷感の素材など暑さ対策が施された衣服を着る
日差しをよける ・帽子や折り畳みの日傘などを持ち歩く
冷却グッズを使う ・冷却シート、シャツミスト、ネッククーラーなどの暑さ対策のための冷却グッズを利用する

日頃から部屋の温度や湿度に関心を持ち、涼しく過ごせる環境を整えることで熱中症を予防できます。

最新の冷却グッズなどを試してみて、気に入ったものを取り入れてみるのもよいでしょう。

暑さから身を守る

特に外出時などは暑さから身を守る行動を心がけておくとよいでしょう。

具体的な方法は次の3つです。

項目 概要
飲み物を持参する ・自分用の水筒を準備する
休憩を取る ・外出時でも身体が疲れる前にこまめに休憩を取る
熱中症指数を確認する ・テレビやインターネットなどで発信される熱中症指数を確認する

外で運動をするのが好きな人はつい炎天下でも身体を動かしてしまいがちですが、休憩をこまめにはさみ無理をしすぎないことが重要です。

参考:一般社団法人日本気象協会 熱中症ゼロへ「熱中症の予防・対策」

高齢者の熱中症予防には「airwill」や「eSensor2」を

高齢者の家庭での熱中症予防には、HomeLinkのアライアンス製品である「airwill」と、デジタル温湿度計「eSensor2」を組み合わせた室温管理がおすすめです。

ルームエアコン「airwill」はHomeLinkに接続することでエアコンを遠隔操作したり、電気料金の詳細表示をしたりできます。

また「eSensor2」は大画面で見やすいデジタル温湿度計で、湿度や温度の条件を設定するとスマホで通知を受け取ることができます。

この2つを組み合わせると、温度や湿度と連携して空調を自動管理できるので、居室を高齢者にとって心地よい空間にでき、同時に熱中症を予防することができます。
例えば、「室温が28度を超えたら冷房ON」「室温が25度を下回ったら冷房OFF」「湿度が60%を超えたら除湿モードON」など、設定の仕方は自由自在です。

室温管理をするよう声がけをしたのに受け入れてもらえない場合でも、自動管理ができるので熱中症にかからないか周囲の人が心配する負担も減るでしょう。

「airwill」と「eSensor2」に興味のある方は次の2つのページもご覧ください。

アイリスオーヤマ ルームエアコン airwill(エアウィル) – (公式)LinkJapan リンクジャパン

Linkjapan デジタル温湿度計 eSensor2 イーセンサー (homelink.jp)

まとめ

高齢者は温度に対する感覚が弱くなり熱中症にかかりやすくなるため、日頃から予防をして暑い時期になったらそれに応じた対策を取ることが重要だと言えるでしょう。

この記事も参考にして、少しずつ高齢者が熱中症にかかりにくい環境を整えていってください。