オンライン服薬指導が始まりました。処方された薬を貰いに行く手間も省けるので、オンライン診療を受けたタイミングで利用してみたいけれど、具体的にどのようにしたら良いか分からず迷っている人はいませんか?
この記事ではオンライン服薬指導のメリットからオンライン服薬指導を受ける流れまで詳しく解説します。
オンライン服薬指導とは?
オンライン服薬指導とは、PCやスマホなどの情報通信機器を介して服薬指導を受けることを指します。
オンライン服薬指導については新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う特例的な扱いを見直すため、2022年3月31日に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行細則」が改正・公布されました。
この中で、オンライン服薬指導について記載のある第15条の13の一部も次のように改正されています。
- 薬剤師の責任や判断でオンライン服薬指導をしてもよいこと
- 服用方法が複雑な薬であっても患者がその内容を理解できると薬剤師が判断できる根拠が明らかであれば、初回からオンライン服薬指導をしてもよいこと
- オンラインによる情報漏洩などのリスクを明らかにした上で行うこと
オンライン服薬指導は、服薬指導のために薬局に赴く時間や手間が減らせることはもちろん、薬剤師の負荷も軽減される仕組みと言えるでしょう。
参考:e-GOV法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行細則」
オンライン服薬指導のメリット
オンラインで服薬指導をするメリットは次の通りで、時間と手間の削減が大きいでしょう。
- 感染防止対策になる
- 通院や待ち時間にかかる時間を削減できる
- 薬剤師の負荷軽減につながる
また、薬剤師にとっても大きなメリットがあります。業務の1つに在宅医療がありますが、訪問を必要とする患者にオンライン服薬指導をすることによって薬剤師の訪問回数を減らすことができるのです。
オンライン服薬指導のデメリット
オンラインでの服薬指導には次のようなデメリットもあるので注意しましょう。
- 患者のインターネット環境が整っていないとスムーズに実施できない
- オンラインのコミュニケーションだけでは十分な症状把握や、薬と医薬品についての説明が難しい場合もある
オンラインでの服薬指導は開始されてまだ日が浅いため、課題もあることを理解した上で利用するようにしましょう。
オンライン服薬指導の流れ
オンライン服薬指導はどのような流れで行われるのでしょうか。
5つのSTEPにわけてご紹介します。
【STEP1】対面またはオンラインで診察を受ける
まずは医療機関に受診します。
受診の形式について対面かオンラインかは問われないのでどちらでも大丈夫ですが、オンライン服薬指導を希望する旨を医師に伝えておくのがスムーズです。
【STEP2】オンライン服薬指導の予約をする
オンライン服薬指導の予約をします。
処方箋の期限は発行日を含めて4日と定められているため、予約はこの期限内の日付で行うようにしましょう。
【STEP3】電子処方箋を薬局に提出する
医療機関と患者のいずれかが薬局に電子処方箋を提出します。
患者が電子処方箋を提出する場合、電子処方箋の引換番号がオンライン服薬指導を受けたい薬局に送信(紙の処方箋の場合は利用するサービスでの送付方法を確認)されるとオンライン服薬指導が受けられるようになります。
【STEP4】オンライン服薬指導を受ける
予約した日時にオンライン服薬指導を受けます。
インターネットがつながりにくい環境では説明の聞き落としやコミュニケーションの行き違いが起こりやすくなるので、スムーズにオンライン服薬指導を受けるためにはインターネット環境が整った場所を選ぶようにしましょう。
【STEP5】支払いをする
最後に薬局が指定した方法で支払いを行います。
クレジットカード決済がほとんどなので、使用したいカードをあらかじめ準備しておくとよいでしょう。
オンライン服薬指導の現状
オンライン服薬指導の流れは理解したものの、まだオンライン服薬指導の利用に踏み切るか迷っている人もいるのではないでしょうか。
世の中ではどのような意見が多いのか気になるところですよね。
2022年にデロイトトーマツが20才以上の1,443人を対象に行ったアンケート調査の結果から見える、オンライン服薬指導の現状をご紹介します。
オンライン服薬指導の利用率
2021年と2022年のオンライン薬局と服薬指導の利用率を調査したところ、次のような結果が出ました。
2021年 | 2022年 | |
オンライン薬局と服薬指導 | 5.3% | 6.3% |
オンライン診療 | 5.9% | 6.8% |
2021年と2022年の結果を比較するとオンライン薬局と服薬指導、オンライン診療とも利用率の増加は1ポイント前後でした。
増加幅は決して大きくはないものの、法改正を受けて今後も少しずつ増加することが予想されます。
オンライン服薬指導の利用意向
オンライン薬局とオンライン服薬指導の今後の利用意向についてたずねた所、次のような結果が出ました。
コロナに関係なく使いたい | コロナの不安がある間だけ使いたい | コロナに関係なく使いたくない | |
オンライン薬局と服薬指導 | 33% | 25% | 42% |
オンライン診療 | 32% | 25% | 43% |
オンライン薬局と服薬指導、オンライン診療両方において「コロナに関係なく使いたい」と回答した人より「コロナに関係なく使いたくない」と回答した人の方が10ポイントほど多かったのです。
この結果から、新型コロナウイルスの感染拡大がおさまった状態でどのくらいオンライン服薬指導に対する理解を深められるかが普及を促進するのに重要であることがわかります。
一方オンラインサービスについて、未経験者と経験者にわけて利用意向の差を調べてみた所、次のような結果が出ました。
画像出典元:デロイトトーマツ ニュースリリース「デロイト トーマツ調査、オンライン診療・オンライン服薬指導 利用経験のない人も5割以上は『使いたい』」
オンライン薬局と服薬指導、オンライン診療両方において未経験者より経験者の方が「コロナに関係なく使いたい」と回答する割合が15ポイントほど増加したのです。
このことからオンライン服薬指導をもっと普及させるためには、一度オンライン服薬指導を経験してもらい、その良さに気づいてもらうことが大切だと言えるでしょう。
オンライン服薬指導を利用したきっかけ
オンライン服薬指導を使った経験がある200人に、そのきっかけについてたずねてみた所、次のような結果が出ました。
オンライン服薬指導を利用したきっかけ | 人数 |
インターネットやテレビで見て興味があったから | 58人 |
新型コロナウイルス感染症で外出や薬局への訪問を控えたいから | 52人 |
医師・看護師から紹介されたから | 46人 |
自分の空き時間に待ち時間なく服薬指導を受けたり、処方薬の受け取りができるから | 40人 |
家族または知人から紹介されたから | 35人 |
これまで通っていた薬局がオンライン対応されたから | 34人 |
薬剤師に紹介されたから | 25人 |
その他 | 11人 |
オンライン服薬指導のメリットを考えて利用し始めた人もいますが、「インターネットやテレビで見て興味があったから」「医師、看護師、薬剤師、家族、知人から紹介されたから」といった比較的受け身なきっかけで利用し始めた人が多いのが特徴的です。
オンライン服薬指導は前の項目でもご紹介した通り、一度利用した人はその便利さに気づき、今後も利用したいという意向を持ちやすくなる傾向があります。
初回利用への敷居の高さを軽減できるようなきっかけ作りが普及への第一歩となるのかもしれません。
参考:デロイトトーマツ ニュースリリース「デロイト トーマツ調査、オンライン診療・オンライン服薬指導 利用経験のない人も5割以上は『使いたい』」
スマートホームサービスとオンライン服薬指導システムの連携を開始
2023年9月に株式会社リンクジャパンと株式会社メディバリーはスマートホーム統合アプリ「HomeLink」からオンラインによる服薬指導と医薬品の配送予約ができるサービスを共同で開始しました。
スマートホームサービスとオンライン服薬指導システムの連携は日本で初の取り組みとなります。
オンライン服薬指導は紙の処方箋、電子処方箋両方に対応しており、患者はビデオ通話で薬の説明を受けた後、医薬品の配送もしてもらうことができるのです。
医薬品は東京23区内であれば最短当日、本州全域から福岡までは最短翌日で手元に届くので、早めに処方された薬を飲み始めたい人や、継続的に薬の処方を受けている人は便利に活用できるでしょう。
今回のサービスを開始するにあたって新しいアプリを新しくインストールする必要はなく、「HomeLink」を使用している人にとっては使い慣れた画面からオンライン服薬指導を受けられます。
「HomeLink」からオンライン服薬指導を一度試してみたい方は、ぜひ次のページもごらんください。
国内初となるIoTスマートホーム統合アプリ上でのオンライン調剤薬局がオープン – (公式)LinkJapan リンクジャパン
まとめ
オンライン服薬指導とは、PCやスマホなどの情報通信機器を介して服薬指導を受けることを指します。
まだサービス開始からそれほど時間が経過していないのもあり、普及率はそれほど高くないのが現状ですが、感染防止対策になる、薬局に通う時間や待ち時間を削減できるなとメリットが大きいので、ぜひ一度利用を検討してみてください。